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第15話

何度も何度も何度も深く口付けた。 角度を変えられて、舌を甘噛みされて、桜井の唾液が流れてくるとそれを少しずつ飲んで。 発情期のときとは違ってしっかり意識があるからか、無性に恥ずかしくてたまらない。でも桜井とのキスが気持ちよくて、やめたくもない。 唇が腫れるんじゃないかってくらいキスをしていたが、ようやく離れた頃には俺はもう体の力が入らなくなっていた。 本音を言うと離れる唇が少し惜しく感じて、発情期中ならまだしもそんなはずはないと軽く首を振る。 「ねー、ほら触ってよ。キスだけでガチガチなの。わかる?」 ふと手を取られて持っていかれたのは桜井の股間。スボン腰でもわかるくらい勃起したそれは、窮屈そうにその中に納まっていて放出できない熱がこもっている。 こいつも発情期のフェロモンにあてられていないのに、まさか俺とのキスだけでこんなになるのが信じられなくて桜井を見あげれば、小さく微笑まれた。 「笹塚が好きだからこうなってんの。いい加減わかった?」 「わ、わかった、わかったから…」 俺の手に股間を擦りつけるのはやめてほしい…。言われるがままに頷けば掴まれていた手が離され、そのまま桜井の手は自分のズボンのボタンとチャックを外し始めた。 「フェラして」 「…それは願い事の二つめなのか」 「なわけないじゃん。えっちの内容に含まれてまーす」 桜井は手早くズボンと下着を膝まで下げて、俺を見下ろしながら勃起した性器を俺の頬にぺちぺちあててくる。性器を片手で包み込み、口元へと近づけるが中々素の状態でやるには抵抗があった。 「はやく。口開けて、舐めて」 楽しそうな表情と声音で言う桜井を睨みながら、俺は恐る恐る先端に口付ける。前はどうしてたっけ。思い出せないけど言われた通りに舌を出して舐めてみた。 変な味ではあるけど、…まあ、不快感はない、と思う。 そのままぎこちない動作でしていたものの、そもそも大きくて口の中に収まりきらないし、入れたとしても苦しくてまともに舐めれない。 これの何がいいのかさっぱりだが、桜井は満足そうな顔をしている。やっぱり頭おかしい。 ただここでまたひとつ、問題が起きた。 とろっと、尻の穴からぬるぬるしたものが漏れだしていることに、俺は気づいていた。 下腹部が熱くなって、そこから徐々に熱が全身に行き渡って呼吸が苦しくなってくる。俺は咄嗟に舐めていたものから離れて、ポケットに手を突っ込んだ。 そう、抑制剤。俺はそれを探していた。 すぐにポケットの中から見慣れた錠剤を見つけるが、桜井によって手を掴まれそれを飲むことができなかった。 文句を言ってやろうと桜井を見れば、すでに俺のフェロモンにあてられた桜井は息を荒くしながら、熱のこもった瞳で俺を見ている。 「タイミング良すぎ」 自分でもそう思う。いや、良いのか悪いのか… もう、発情期中に桜井とのセックスを体に覚えてしまっている俺は、すぐに抑制剤のことなんか忘れてしまい、甘えるように桜井の首に腕を回して口付けた。

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