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第16話
ねっとり舌を絡ませて唾液音が響く。気持ちよくて気持ちよくて、やっぱりこいつとのキスは好きかもしれないとぼんやりする頭で思った。断じてこいつは好きじゃ、ねぇけど。
「笹塚さぁ、俺とキスするの好きだよね」
「…っはぁ!?」
「そんまんま俺の事も好きになってくんない?」
一瞬、頭の中読まれたのかと思って焦った。
桜井の言葉にはなんて返事をしたもんかと黙って返事せずにいると、べつに返答を期待しているわけではなかったらしく、俺の反応に慣れているのか桜井は気にすることなく俺のズボンと下着を取り払った。
「っあ……」
「すっごいとろっとろ。お前これ自分で触ったことある?すごいよ、もう欲しくて欲しくてしょうがないって感じ」
桜井の細く角張った指は俺の股の間へ滑っていき、期待で絶え間なく濡らす穴へ触れた。それだけでまたとろりと前からも下からも溢れてきて、桜井の指を濡らし、羞恥で顔が熱くなる。
「んっ、ぁあっ!あんっ、っ…!」
床に座る桜井の足を跨ぐような体勢で、俺の足は軽く開いてある。桜井の指は簡単に俺の中に入っていきもう三本目、中を掻き回すようにぐっちゅぐっちゅ抜き差しされるとたまらなく喘いでしまう。
「きもちいい?」
「っき、もちいい…っ、」
ほしい、ほしい。
指だけじゃ足りない。焦れったくてしょうがない。でも桜井は中々指を抜こうとせず、それどころかもどかしい触り方をするというか、俺が気持ちいいと感じる場所はわかっているはずなのに、それをわざと避けているような動きをしている。
眉根を寄せてちらりと桜井の方を見れば、こいつも息苦しそうにはぁはぁ息を荒くしている癖に、にやぁと意地悪そうな笑みを向けてきた。
「てめぇわざと、焦らしてんだろ…っ!」
「バレた?かわいくねだってくれないかなぁ、って思って」
その笑顔が余裕ぶっているような表情で妙に腹たって、少し腰を浮かして桜井の指を自分から引き抜いた。
「っもう、がまんできねぇからぁ…それいれろよ…っ!おまえも限界だろ…っ」
「…うん、俺的にはかわいいからオッケー」
よくわからねぇけどオッケーだったらしい。もう入れてくれるならなんでもいい。はやくしてほしい。
ベットの上に連れてこられて、俺は仰向けに寝転がりそこに桜井が覆いかぶさった。はしたなく脚を開いて受け入れる準備は万端。
なのに、桜井の手には未開封のゴムがありそれを開封して自分につけようとしていた。
「うざってぇから、はやくしろよ…!」
「でも避妊しとかないとさ」
「っ生でいい、そのまんま、っはやくぅ…!」
数秒待つのももどかしくて、むしろ俺の体は孕まされたくてしょうがなくて、避妊なんて必要ないとねだってしまう。
すると桜井は苦虫を噛み潰したような顔をして、俺の言うことを聞き入れることなく手早くゴムをつけた。
そのことについて文句を言う暇もなく、ゴムをつけたあとはすぐに俺の中に挿入された。みちみちと穴を広げながら、待ちに待った体は嬉しくて俺の口からは嬌声が漏れる。
「っあ、ぁあっ!ん、きもち、いぃ…!なかぁ、あっあっ、んぅ」
「っはぁ…ほんと、笹塚のなか、とろっとろでよすぎ」
桜井の両手で腰をがっちりホールドされ、ガンガン好き勝手に揺さぶられ突かれれば視界がチカチカして、触ってもない俺の性器からはどろどろと精子が勢いなく溢れ出す。
「っく…ぅ、ああ…っ…はげし、んっあ…!!」
どのくらい時間が経っただろうか。
体勢はいつの間にかバックになっていて、四つん這いになっている俺を後ろから桜井が激しく揺さぶる。俺は右手で自分のモノに手を伸ばして擦るけど、何回出したからわからないそれは勃起はしているもののおしっこのようにぴゅぴゅっと少量の精子が飛び出すだけだった。
「ここに、噛みつきゃいい話なんだけ、どっ」
「っあ!あっ…んっあんっ、あっ…またイク…ッイク…ぅ…」
「はぁっ…そしたら、お前も発情しなくなるし、俺とお前はめでたく番、になれんのにね…」
うなじをするりの指先で撫でられた気がするが今はそんなこと構ってられない。なにか喋っている気がするけどそれも上手く聞こえないし、今はただただ桜井から与えられる快楽と、ゴムにせき止められてて注がれない精子に、ひたすら喘いで悶えるしかなかった。
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