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第21話

つーか俺に変態だのなんだと言わせるこいつの方がよっぽどど変態じゃねぇか! 俺のそんな主張は虚しく、ぬぷぷと挿入された桜井の指によって嬌声に変わった。 きもち、よすぎる…! 入ってきただけなのに俺の穴は指をぎゅうぎゅう締め付けて離さない。 「っおく、引っかいて、ほし…い….っ」 「ここ?」 「ぁああっ!!」 桜井は俺のイイところを全部把握済みなため、ピンポイントに内壁を擦ってくるとたまらず腰ががくがく震えた。 そんな俺に桜井は休むことなくぬぽぬぽ音を立てながら指の抜き差しをし、いい具合に俺の穴がふやけて慣れてきた頃にまるで手マンをするように激しく手指を動かされた。背中がそってシーツに触れていた手は耐えるようにシーツを握る。 「あああっ、まっ、またイく…ぅ、むり!あっもっ、あんっあ、イく…!」 我慢できずに扱き続ける俺の手と桜井の愛撫により、やっと俺は念願叶って射精した。全身の力が抜けて、俺は仰向けの状態でベットに倒れ込む。いわゆる賢者タイムだ。 発情期中に賢者タイムはないが、通常の俺はこんなもんである。1回イきゃ大満足だ。 けれどまあ、それを許してくれないのがこいつなわけで… 「休憩中悪いけど、俺はまだ1回もイってないんだよね」 「いや…もういい…俺はもうこのまま寝る…っぅ、ぁあっ!」 足を抱えられたと思ったらずぷー、っと俺の中にぶっといものが挿入されてくる。それはなんなのか考えるまでもなくわかるが、俺の体は満足しているはずなのにまだまだそれを求めた。 ゆっくり、そしてだんだんと早く打ち付けられる腰に俺は喉がカラッカラに枯れるまで声を上げ、結局終わったのは夕方だった。 ◇ 「なんでこうなるんだろうね…」 二人で力なくベットに倒れ込み、大反省会。 「男子高校生の性欲舐めちゃだめだ…笹塚、喉乾いた水欲しい」 「てめぇで取りに行け…」 言えば、桜井はよろよろと立ち上がり、壁伝いに俺の部屋を出ていった。しまった、俺の分ももってこいっつーの忘れた。 ふとよくわからんポップな曲が部屋に響いた。重たい体を動かして探せば、桜井の携帯がなっている。手繰り寄せれば『鈴音』という文字がディスプレイで輝いている。女だろうか。そういや、こいつ顔もいいし、学校でもよく女が周りを囲っていたような気がする。 相手に困っちゃいねぇだろうに、なんでこいつはあえて俺を選ぶんだろうか。好きだと言って、なんど突っぱねても引っ付いてくる。 最近は突っぱねれてないときもなくはないが。 ちょうど桜井が戻ってきたのでしつこく鳴り響くスマホを投げれば、上手いことそれを受け取った。 「鈴音」 「は?鈴音?」 名前を伝えて桜井がスマホを見れば、あぁ、と理解したように電話に出た。出るのか、なんてどこか出ないでくれることを期待しているみたいな自分の考えに舌打ちする。 「はぁ?今から?ムリムリ。むしろずっとムリ。じゃあね」 そう言って切った桜井は、俺のいるベットに腰掛けて持ってきていたコップで水を飲んだ。俺の分はなし。半分ほど桜井が飲んだところでそれを奪い取り、残りの半分を飲み干した。 「お前に用じゃねぇの」 「そうだけど」 「行ってこいよ。どうせ暇だろ。俺もう今日はどっか出かける気ねぇし」 ぶっきらぼうに告げれば、桜井はわかりやすく不機嫌そうな顔をした。 「俺さ、何回も笹塚のこと好きだっつってんのに、そういうこと言う?」 「べつに俺ら付き合ってるとか、そういうわけじゃねぇし」 「そりゃ付き合ってないし、俺の一方的な片思いかもしれないけど、デリカシーとかないわけ?」 「んなもんねぇよ」 スマホをぽちぽちしながら返せば、桜井が黙りこくった。よく喋る桜井が黙るなんて不気味で、スマホから目を離しちらりと目線をやったとき、『あ、怒らせた』とわかる表情で俺を睨んでいた。 「あっそ。じゃあ今からさっきのオメガの女とヤッてくるわ」 「…勝手にしろよ」 バンッと勢いく扉を閉めて桜井は出ていった。 静かになった部屋で少し冷静になった。賢者タイムとはいえ、ちょっと俺の態度悪すぎじゃねぇ? …でも、最近あいつといると今日みたいに発情期でもないのに体も思考もおかしくなるし、いい機会かもしれない。 いらいらするような、もやもやするような胸のつっかえに、一体これがなのか理由がわからず困惑するが、すぐに倦怠感と眠気により考えることをやめ、睡魔に体を委ねた。

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