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第3話

 鍛錬所へと向かうと、後輩たちと訓練を終えた後のようで水場で汗を流していたところで、濡れた細身の身体は扇情的だ。  暫くの間、その姿に見惚れていれば、 「なんだ、手合せでもしたくなったか?」  と剣を手にし、挑戦的な表情を浮かべる。  ゾクゾクとするような格好よさ。  その誘いによろめきかけて、だめだと頭を振るう。 「とても魅力的な誘いだが、今は大切な話がある。すこし付き合ってくれないか?」 「あぁ、良いぞ」  身体を拭き、着替えが終わった所で、宗を人気のない場所へと連れて行く。  そして、いざ求婚、と思ったが照れてしまい話を切り出せない。 「どうした?」 「あぁ、なんだ、その……」  ガシガシと頭をかき、言葉を絞り出そうとするが口から出てこない。  いつまでも話しださないクレイグに、宗は眉間にしわを寄せ、 「話が無いのなら俺は戻るぞ」  と、踵を返しきた道を戻って行こうとする宗の腕を掴み引き止める。 「待てって」 「お前、俺に怒られるようなことをしたのか?」  腕を組んで指でとんとんと叩く。これは嫌味な言葉と拳、両方とんでくるパターンだ。 「あのな、は、はん、りょ」 「ハッキリ言え」  拳がかたく握りしめられる。 「はいっ!」  クレイグは、落ち着けと、息を大きく吸ってからはき出す。そして、ポケットの中に入れておいた箱を取り出し、 「俺の伴侶となって欲しんだ!!」  と蓋をあけた。  告白する事ができたこと、何かが飛んでこないですんだこと、両方にクレイグをホッとさせる。 「ほう、良い品だな。しかも俺好みだ」  しかも贈り物は気に入ってもらえたようだ。 「だろう? お前の好みは良く知っているからな」 「あぁ、確かに。それだけ長く共にいるのだからな」  口元に笑みを浮かべ贈り物を眺める。  うまくいきそうな雰囲気。クレイグは貰ったと小さくガッツポーズをするが、 「これはまだ受け取れない。俺が伴侶になるかどうかは、お前次第だ」  カフスの入った箱へと戻し、行ってしまった。  まさか返されるなんて。ショックでその場にしゃがみ込む。  だが、宗はクレイグの気持ちを知っていてそう言ったのだからまだチャンスは残されているわけだ。  一筋縄ではいかない相手に対してどう攻めるべきか。戦闘に関しては百戦錬磨だが、恋愛は不得手だ。  ガシガシと頭を掻き、ため息をついて項垂れる。 「まいったなぁ」  箱を手にしたまま騎士控室へと向かう。  その途中、 「宗さんに求婚をされたと聞きましが」  第一隊の隊長であるアルバンに声を掛けられた。

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