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第4話

 宗とクレイグとは入隊した時から兄貴分として面倒を見てきた。そのためか、上官ではあるのに自分達には敬語を使う。  もう耳にはいっているとは。すべて筒抜けかよと頭を掻く。 「もう、噂になっているのか?」 「はい。我が騎士団はお二人の事を暖かく見守るという暗黙の了解がありまして。噂も回るのがはやいですよ」  そんな暗黙の了解があるなんて知らなかった。  何も出来ねぇなとため息をつく。 「で、返事はどうだったんですか?」  興味津々といわんばかりの表情で聞かれ、クレイグは肩を上げてため息をつく。 「これからの俺次第だそうだ」 「それならば、宗さんをデートに誘わないといけませんね」 「デートだぁ?」 「はい。そういう事を重ねながら愛を育むものです。俺も妻とそうしてきました」  アルバンには歳の離れた可愛い妻がいる。  彼女はワジャート王国の姫で、アルバンが第一部隊の隊長になり暫くしてから求婚し結ばれた。  心から愛しているアルバンはデレデレとした表情を見せる。  その度に羨ましいと思っていた。自分も惚気話をしてみたいと。 「なら、狩りにでも行くか」  宗が楽しんでくれそうな事と言えば剣で戦えるような事がいいだろう。 「狩りって、ちょっと、クレイグさん」  そうではなくてと、アルバンが頭を抱えながらクレイグをとめた。 「だってよぉ、あいつが喜びそうなモンっていったらそういうのだろ?」 「確かに好きそうですが、それじゃいつもと変わらないではありませんか!」 「そんなこと言われても、どうしていいのか解らねぇんだわ」  今までデートなんてしたことがない。宗を好きだと意識するようになってからは特定の恋人はおらず、身体の関係だけの付き合いしかない。  それ故にどうしたら良いか解らない。 「そうですね……、宗さんのどこに惚れたのかを話してみるというのは如何でしょうか?」 「えぇっ、恥ずかしいだろ、それ」 「でも、相手は自分のどこに惚れたのかって気にするものですよ。俺もそうやって上手くいきましたし」  そういうものなのだろうか。互いにこそばゆい思いをするだけではないか。  だが、アルバンはそうして可愛い人を妻として迎えることができたのだから、やってみるかちはありそうだ。 「よし、デートに誘うか」  宗の非番は明後日だ。クレイグは仕事なので誰かに代わってもらい、弁当は周に頼もう。  後は美味い酒と肉を用意すればいい。  善は急げ。デートの約束を取り付けるために宗の元へと急いだ。

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