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第5話
◇…◆…◇
空は快晴。馬で遠出をするのにはもってこいだ。
はじめはゆっくりと馬を走らせていたが、途中から競争になった。
楽しそうに馬を走らせた後、草原で休憩をとる。
弁当は周が作ってくれた。分厚く切った肉を甘辛く焼いたものと青野菜を挟んだパンが入っていた。
肉は昨日、周と一緒に行った狩りで仕留めたものだ。
「お、美味そうだな」
宗は肉と酒があれば良いという男だ。周が食事を作ってくれているからバランスよく食べられるが、独身の頃は一緒に肉ばかり食べていたなと思いだす。
「周を連れて森で狩ってきた」
「なんだよ、そういう楽しそうな事をするときは俺も誘え」
やはり宗は狩りの方が喜ぶよな。そう心の中でそう呟きつつ、今度は誘うよとこたえる。
「おう」
葡萄酒を手渡してパンを齧りながら飲む。
「でも、たまにはこういうのも良いな。天気は良いし、飯はうまいし。お前と競争も出来た」
「だな」
食事を終えて二人並んで横になる。
腹も満たされし朝もはやかったからか、つい、うとうととしそうになる。
いつもならこのまま昼寝をしてしまう所だが、今日はそういう訳にはいかない。頬を叩いて眠気をとばす。
「なぁ、これはデートの誘いだって言ったよな? ならばそれっぽい会話でもしろよ」
「そうだな」
確かにこれではいつもと変わらない。
「だろう? このままじゃ、デートのお別れにキス、なんて展開にはならんぞ」
「わぉ、キスしていいんだ」
そういうのはナシなんだろうなと思っていたので、つい、下心いっぱいに笑みを浮かべてしまう。
「うわ、いやらしい顔。だが、キスするかどうかはお前次第だぞ?」
「なんだよ、またソレか」
ならば、と、アルバンに言われたことを話そうと口を開く。
「あ……、なんだ、俺がお前の惚れた理由なんだが」
「ほう、興味深いな」
聞かせてくれと、話を促される。
「お前の戦う姿が美しくて、目が離せなくなった」
「そんなことを言うのはお前くらいだぞ」
「えぇ、お前に見惚れている奴、結構いるぞ?」
「いいや、強さに憧れる奴はいるが怖がられる方が多いかな」
「そりゃ、見る目がねぇな。強い相手と戦っている時なんて、すごくエロい顔をしている……、て、おい、危ないじゃねぇか!」
今日はいつもの得物ではなく剣を腰にぶら下げており、それを突き付けられて寸前でよける。
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