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第6話

「この変態がっ」  さらにもう一度、鋭い突きに、腰の剣を抜いて弾く。  こちらもいつもの剣ではなく、中型の剣を腰にぶら下げている。 「だってよ、高揚した頬とか、たまらねぇ」  まるでイった後のようだぜ、と、口角を上げる。 「お前にイき顔を見せた覚えはない!!」 「あぁ、そりゃそうだ。俺の妄想だし」 「引くわ」  素早い剣の動きを防ぎつつ、こちらから仕掛ける為に隙が出来るのを待つ。  宗が大技をくりだそうとした所で、それを真正面から受けて力技にでた。 「この、馬鹿力が」  力勝負に持ち込めば分はクレイグにある。  剣を弾き飛ばし、さらに唇を奪う。 「なっ」  驚いた表情を浮かべる宗に、クレイグは舌を強引にねじ込む。 「ん、んっ」  少し乱暴なキスだが、宗にはそれくらいが良かったようで、満足そうに眼をとろんとさせて首に腕を回してきた。 「お前のキスは想像通りな」 「ははっ、優しいのも出来るぞ?」 「ほう、やってみろよ」  できるのかというような顔をされて、心外だなとぼやく。  再び唇を重ねて歯列をなぞる。 「ん……、わるく、ない」  キスに応えてくれるのが嬉しい。絡み合う舌がいやらしく水音をたてる。  それから存分とキスを味わい、唇が離れる。 「やっぱ、好きな人とするキスは良いな!」  なんという夢心地。  何度でも味わいたいと、クレイグを酔わせた。  宗はどう思っているのだろうと様子を窺えば、ジト目を向けていた。 「え?」 「俺以外の相手は誰だ、ん?」  聞かせて貰おうかと顔を近づけてくる。 「そ、それは……」  怒っているのかと尋ねれば、ニッコリと笑みを浮かべる。ただし、目は鋭く細められている。 「べつに。相手がいるのなら遠慮せずにそいつとすればいい」 「え、そんな、俺はお前一筋なのにぃ」 「ほぅ、その口が言うか」  頬を掴まれてヒヨコ口にされる。 「うぐっ、やめ」 「ははっ、良い歳をしたオッサンがヒヨコ口! 可愛くないな」  その唇に宗の唇が重なり、今度は彼の舌に翻弄される。 「むっ」 「は、ふ」  目元を赤く染めてクレイグの口内を乱す彼に、下半身がじくじくとしはじめる。  このまま押し倒して、その肌に食らいつきたい。  腰を抱き尻に触れた瞬間、ビクッと宗の身体は跳ね、驚いて身を離す。 「お前、どこを触っている」 「うん?」  とぼけてみたが宗に腕を抓られて手を離す。 「はっ、オッサンになったと思ったが、ここはまだ若い」  下半身へと視線を向ける宗に、クレイグはあははと笑って誤魔化す。 「水浴びでもしに行くか。この先にある」 「何、一緒に?」  多分、一緒に入ったら、そのまま襲ってしまうだろう。  エッチな妄想をしかけたクレイグに、 「馬鹿。俺は昼寝をして待つ」  入るのはお前だけだと言われ、馬にまたがる。  今はあまり馬には乗りたくないが待ってくれる様子もなく、仕方なくついていく。

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