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第7話

 暫く馬を走らせると湖が見えてきて、木に馬の手綱を括り付けてクレイグは上着を脱いで中へと入る。 「うへぇ、冷たい」  水浴びをするには少し早い季節だが、その冷たさが気持ちを引き締める。  宗が目を細めながらこちらを見ている。口元には笑みを浮かべており、楽しそうで良かった。 「お、魚がいるぞ。宗、木の枝の先を尖らせてくれ」 「わかった」  モリの代りに良さそうな枝を探し、先端を尖らせる。 「ほら」 「よっしゃ、宗の為に大物をとってやるからな」  そう口にしたのは良いが、結局、とらえることが出来たのは小さな魚が一匹。  それを見て、宗が腹を抱えて笑う。 「下手だな、お前」 「煩いわっ。俺はこういうのは苦手なんだよ」  お前がやれと木の枝を渡し水から上がる。 「よし、俺の腕前を良く見ておけ」  そういうと上着を脱いだ。  年をとっても美しい身体をしている。目が離せず、彼をじっと見つめていれば、顔に水をかけられた。 「うわっ」 「見過ぎだ」  ふっと笑い、そして水の中へと飛び込む。  それからすぐにクレイグより大きな魚を捕って見せた。 「どうよ」 「やっぱ、魚を捕るのは敵わねぇわ」  宗が突いて捕った魚を陸へと置いていく。  大物が二匹と中くらいが三匹。  もうおしまいと陸の上へと戻ってきた。 「それにしても、まだ水浴びをするには寒いな」  と、クレイグの身体に抱きついた。  宗の身体はひんやりとしていたが、クレイグの身体は一気に熱が上がる。 「宗」 「お前も水浴びをしていたというのに、もう温かいのな」  胸板に頬をくっつけて腕を腰に回してくる。  互いに下穿き姿であり、濡れて張り付いている箇所がくっきりと形を作り厭らしく感じる。  今すぐこの身を押し倒してしまいたい。  冷たい頬を撫で、切なく息をはきすてる。理性を保つことが出来るだろうか。  必死で我慢しているというのに、 「俺には魅力がないか?」  なんて言ってくる。 「そんなことあるか! 俺がどれだけ我慢しているか」 「そうか、ならお前のしたいようにすればいい」  今なんと言った?  目を瞬かせて宗を見る。 「宗?」 「お前は俺をどうしたいんだ」  と聞かれて、 「宗の全てが欲しい。俺の伴侶になってくれ」  そう素直に答えた。 「なら、良い。お前に全部くれてやるよ」  キスをしてそのまま誘われるように草原へと絡みながら倒れ込んだ。  

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