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第14話

「部屋に入って来たからには僕を抱く気はあるのだろう?条件が2つあるのだけど、それさえ守ってくれれば君の思いのままに抱いていいよ?」  天井で煌めくシャンデリアを動かしたような綺麗な声と投げやりな口調がアンバランスだ。  それにまた条件を提示されるとは正直いい気はしない。  こんなに魅惑的な顔と肢体の持ち主で、多分家はとてもお金持ち、そして馬鹿でもないらしい頭脳の持つ人が、どうして屋敷に男を呼び込むのかが分からない。オレの行きつけの界隈に行ったら大人気だろうし、10万、いや50万だって買う男は居そうで、ホテル代だって喜んで払うだろう。屋敷に男を呼び込むリスクが考えられない程の馬鹿でもなさそうだし、ナゾは深まるばかりだった。 「どんな条件なのかな?まず、それを聞かせてもらいたいな」  苺色の胸の飾りに指を近づけてしまう。そしてその硬さを確かめずにはいられない吸引力の持ち主だ。 「条件は、キスマークとか僕の身体に濃い色をつけないことと、もう一つは終わった後で――別に何回でも構わないけど、とにかく君が満足しきったら僕の肌の隅から隅まで見て、何色かは分からないけど、色を見付けたらその色と形をありのままに僕に教えてくれること、それだけなのだけれど、出来るかな?」  キスマークをつけるなというのは何となく分かるような気がする。どういう事情かは分からないが、深雪は毎晩男に抱かれているようなので、その男を興醒めさせないようにするためだろう。晶の行きつけの店は比較的小規模だ。そんな店にでもウワサされるのだから、あの界隈では深雪のことは持ち切りに違いない。キスマークをつけていても、逆に興奮の材料にする人間も数多いはずだ。でも多分全裸だろうが、肌に何色かは分からないが色がついたのを教えろというのは聞いたことのない条件だ。  ただ、その程度の条件なら楽々呑める。 「ああ、その条件は了解した。素肌の隅々まで全部見れば良いのだろう?終わってからじっくりと」  ツンと勃った赤い胸の飾り――多分昨夜の男が念入りに愛撫した証に違いない――を掌全体で転がしながら、左手で深雪の随分高い位置にある細い腰のラインを辿る。 「んっ。もっと強く……」  どちらを強く愛撫して欲しがっているのは硬さを増した苺の赤が純白のシルクから透けるので一目瞭然だ。 「どこを強くしたら良いのかな?ああ、深雪の肌は陶器のような冷たさと木目細かさで吸い付くようだね」

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