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第15話
胸の飾りから掌を僅かに離して、薄いシルク越しの綺麗なラインを愉しむように確かめるように辿った。
「綺麗」とか「美しい」とかそういう月並みな言葉は聞き慣れているだろうかから、言わないことにする。しなやかに盛り上がった臀部の横にチャイナドレスのようなスリットを発見する。直接素肌に触れると、ヒクリと身体が撥ねた。
「真ん中にも……切れ込みは……有るから」
胸の飾りを晶の掌に押し付けながらもどこか冷めた口調だった。深雪が着ている夜着は、男を迎えるためだけに作られたのは確実だ。そんな男娼のような衣服を身にまとっていながらも気高さを失わないのはどこか硬質な美貌と生まれもっての気品のせいだろうか。
博物館にでも陳列してある彫刻にいけないことをするような背徳感を覚えてしまう。
「そう……じゃあさ、ココ」
ツンと勃った小さい飾りに力を込めた。もっと紅さを増しているはずだ。
「んっ。い……いっ」
紅色の唇が薔薇色の吐息を零す。
「ココの色は覚えたから、真ん中のスリットを開いて欲しいな。どちらが紅いか確かめたい」
毎晩開いている肢体だろうから、愛され慣れて熟れた色に染まっているはずだ。抱かれ慣れているのだから、入り口の初々しさは期待出来なかったが。
白磁の肌とは対照的な妖しく淫らな色を見てみたい。晶にとっては一晩切りのお愉しみなのだから、五感全てで深雪という稀有な肢体を心行くまで堪能したい。
深雪の華奢な指が背中へと向かっていく。
自分の指で淫らな入り口を慰めるような仕草に思わず息を呑んだ。
神聖さと生々しさの絶妙なバランスがとても良い。深雪の描いたような綺麗な眉が少し寄っているのも、晶の欲望を加速させていく。
「んっ……スリットは開いたけど」
シルク越しに野苺の形と色を掌全体で転がす動きは中止すると、不満そうな熱い吐息が紅色の唇から洩れた。
「ココの苺を積む動きとオレに背後を向けてスリットの中を見せるのとどちらが良い?」
深雪の肢体は胸への愛撫に弱いようだったので、多分前者だろうなと思う。
「どちらでも……貴方が好きな方で良いよ」
意外な返事にまた違和感が募る。
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