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第17話

 深雪の方が主導権を持っているのに、長い睫毛に縁どられた視線は明らかに床のペルシャか何かの高そうな絨毯に向けられている。初心な人間が良くする動作だ。もしくは初心さを装うために。しかし、深雪は別に初心さを演出しなくても良い人間だ。それに過去の経験が豊富なことも店のウワサで聞いたし、敏感な反応を見ても分かる。  謎めいた魅力を演出するためなのかもしれないが。  何らかのダンスの経験でも有るらしい優雅な動きと共に、しなやかなシルクの夜着が純白の花を咲かせる。透けて見える肌は微かな紅色に上気していてシルクよりも艶やかさを放っている。  床に膝をついて深雪のふっくらと盛り上がった薄い紅色の臀部を目で愉しむことに決めた。  深雪の指がスリットを極上の貴婦人がドレスをたくし上げるような仕草をしている。  使い込んで形が崩れているかと思っていたが、入り口は生硬な感じで慎ましやかに閉じられていたのが意外だった。 「昨夜もお愉しみだったのだろう?まさか、昨夜の男のモノが残っている……なんてことはないよな?何回くらい中に放たれた?」  深雪の細い指を布地から外して、白い二つの谷に誘導する。 「ああ、昨夜も……した。何回かは……覚えていない」  覚えていられないほど愉しんだというわけか。理性では割り切っているものの、どす黒い理不尽な嫉妬の情が胸の奥からわいてくる。 「じゃあさ、もう少し足も開いて、深雪の指も第一関節くらいまで挿れて中がどれだけ紅く染まっているか見たいな」  指がゆっくりと身体の中に挿っていく。昨夜の行為でまだ緩んでいるのだろうか。  晶も現在は恋人不在だが、一夜の遊びと割り切った付き合いは、同年代の人間と比べて多い方だろう。ノーマルな性向を持つ人間と比較した場合晶のような性的嗜好を持つ人間の方が情事には奔放だというデータもある。 「ん……もっと、開いた……方が……良い?」  胸の飾りを愛撫した上半身は薄紅色に染まっているが、下半身は純白の大理石のような肌だ。その慎ましやかな入り口を深雪の指が開いていく。使い込んで薔薇色にでも染まっているかと予想していたのに、朝露に濡れる淡いピンクの可憐さだった。  深雪の肢体や言動は全てにおいてアンバランスだ。慣れているかと思えば初心な色を垣間見せるし、本当に男を切実に求めているのだろうかと会うまでは予想していたが、そうでもない。

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