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第26話

 あどけなさすら感じられる口調が妖艶に誘いをかけてきた深雪とは別人のようで、しかし、どちらの面もとても鮮烈な魅力を放っている。  先ほど会った女執事も深雪にも条件とやらを提示されているのは、今まで深雪の肢体を貪った男達も同様だろう。「一晩きり」という条件に加えて、深雪の際立った美貌と肢体を目の前にしたら、誰だって自分の欲望の赴くままに振る舞ってしまいそうだ。  自分が通過儀礼とやらの道具にしか過ぎないと分かったら尚更に深雪のしなやかな肢体を大きく貫いて揺さぶって、聖なるものを壊したい危険な衝動が加速してしまうのも分かる。 「一番気持ちいいのは、何だ?」  接吻と髪を梳く動作、そして胸の野苺を優しく摘まんでいる。下半身は抜くのが余りにも惜しくてそのままにしてあるが。  瞬きする毎に、深雪の長い睫毛が晶の顔を微かに撫でる。晶の過去の恋人達にも同じことをしてきたが、至近距離でも睫毛が届く人は居なかった。つまりそれほど深雪の睫毛が長いということだ。 「どれもが……とても……気持ち良くて……、一つには絞れないな」  深雪の細く長い指が晶の指と深く絡まる。 「オレもさ、普段は直ぐに抜くのに、深雪の身体の中は天国みたいで抜けないくらいだし、野苺みたいな胸もコリコリしていて、ずっと触っていたくなる」  胸の紅い小さな果実を幾分強めの力に二本の指で挟んだ。 「んっ……とても悦い……。ただ、それはもう何人かは覚えていないけれど、言われた」  胸の野苺を強く刺激する度ごとに、深雪のしなやかで艶やかな全身が水揚げされた太刀魚のように撥ねる。繋がりを解いていない場所から淫らな結合の証のような音と、深雪の中がヒクリと動いては晶のどす黒い欲望をかき立ててしまうが。  ただ、何人もの男達に言われたと赤裸々に告白されてしまっては、性急にコトを進める気にもなれない。 「少し……眠ったらどうだ?疲れただろう?何ならベッドに運んで行くが?ああ、でもこのままじゃマズいかもな、ベトベトだし」  深雪の絶頂の迸りは晶のシャツにも飛散している。当然シルクの夜着の惨状は肌で分かる。それに二人分の汗の雫も吸収して重く湿っているのも事実だ。 「ねむる?」

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