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第27話
単語の意味が分からない異邦人のような不思議な表情がとてもひたむきであどけない。
「だって、朝までが許された時間なのだろう?だったら少しくらい仮眠を取っても構わないだろう?流石に床じゃ無理だろうけど……」
行為に夢中になり過ぎて今が何時なのか正確なところは分からない。ただ、この屋敷に来てからそんなに時間が経過したわけでもなさそうだ。
「そんなことを言ってくれたのは、晶だけだよ」
極上の煌めきが、茶色がかった目に浮かぶ。
時間を超越したかのような不思議な洋館の中に住む綺麗な堕天使というシュチュエーションではなく、普通に街を歩けば皆が親切にしてくれるだろう容貌とスタイルの持ち主なのに、とても勿体ないような気がしてしまう。
「深雪が休みたければ、ベッドに連れていくけど、どうする?それに、この服はどうやって脱がせば良いのか教えてくれ」
あちらこちらにスリットの入った、見るからに高級そうな夜着だが、ファスナーの類は見当たらない。凝った仕掛けにでもなっているのだろうか?
「んっんっ……もう少し……このままで居たい」
深雪が心の底から満ち足りているのが分かる穏やかな表情と仕草だった。
天使の彫刻めいた深雪の唇を舌で辿りながら、胸の野苺の可憐な粒を強く捻った。
「んっ……」
甘く熱い喘ぎを零した唇にすかさず舌を入れる。腕の中に堕ちた天使の肢体が驚いたようにヒクリと動く。
逃げようとする深雪の舌を追って口腔深くまで舌を挿し込むと、潤んだ大きな茶色の瞳が大きく見開かれた。
情事には馴れている深雪の淫らな肢体の反応とは異なって、接吻は本当に初めてのような初心な仕草だ。
丸められた舌の裏側を晶の尖らせた舌先で辿って感じる場所を重点的に濡らしていく。
繋がった指と結合部分の深雪の力が強くなる。腕の中でしなやかに仰け反る肢体に傷をつけてはならないが、毛足の長い絨毯なのは助かっている。
胸のコリコリとした弾力感を愉しみながら、臆病そうに逃げる舌をやっとの思いで搦め取って舌の力を強めて表面を弄る。
お互いの唇と舌が奏でる小さな水音が重厚な部屋の中に微かに響く。
接吻には馴染んでいないのが良く分かる深雪の初々しい反応を確かめながら角度を変えて唇と舌を重ねる。
胸の野苺はますます可憐かつ大きく育って晶の指に吸い付くような、それでいて弾くような不思議な手触りだった。
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