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第29話

「オレの経験からすると、深雪のように弱点だった人もいれば、そうじゃない人もいたな。深雪は男と過ごした初めての夜から、こんなに感じたのか?」  多分、この深雪の部屋に一晩だけという条件で留まることを許された全ての男達もそう思ったに違いない。何人、いや何百人の男達に肢体の奥底までを委ねながらも、深雪の硬質な美貌を保ち続けることが出来たのも、淫らに熟した身体とは異なって精神は誰にも許していない証のような気がする。   胸の野苺を強く刺激すると、深雪の細い顎が撥ね上がる。その拍子に汗の雫がキラキラと空中を漂う様子は淫靡で、そしてダイアモンドの粉のように綺麗だった。 「んっ……悦いっ……。最初の相手が『ここ、感じるだろ』と一方的に言ってきて、最初はくすぐったさしか感じなかったのだけれども、胸と前を同時に弄られるようになって」  深雪の胸の野苺は最初の男の刷り込みらしい。  最初の男が自分だったら、抱き締めて接吻から始める普通の恋人同士の情事を手解きできたのにな、と詮無いことを思ってしまう。 「純白の夜着を着るのも、習わしの一部なのか?深雪にはとても良く似合っているけれど」  胸の野苺を摘む動きに強弱をつける。 「んっ……悦……いっ。そうだ……よ。2百年前は白無垢だった、と聞いているけど」  2百年も深雪の家にはこんな通過儀礼が存在したのかと思うと、深雪が抗えないのも良く分かるような気がした。 「白無垢って白い着物のことだろう?深雪が今着ている夜着もとても似合っているけど、着物の方が良かったかもしれない」  深雪の天使めいた容姿には不似合いな純白の淫らな夜着だが、男を銜え込んで悦楽に甘く歪む肢体にはとても相応しい。 「どうして?」  紅く熟した胸を際立たせるように淫らに仰け反らせた肢体と、幼子の無邪気さを感じさせる大きな茶色の瞳が対照的だった。 「脱がせやすいだろ?着物の方が……。それに深雪の露わな素肌を見てみたいし、触りたい。そしてもっと深く挿りたい」  繋がった場所を浅く突き上げる。同時に胸の野苺を強く摘まんだ。 「ん……んっ……僕も……身体の……中が……熱いっ……。晶の……モノで……衝いてっ……」  甘く掠れた淫らな言葉を紡ぐ深雪の唇は、それでも冒し難い神秘さを兼ね備えている。直ぐにでも蹂躙したい切羽詰まった欲望に敢えてブレーキをかける。

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