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第30話
いくら深雪が魅惑的で扇情的な容貌や肢体の持ち主でも、男達に毎晩のように身体を許していることも事実だ。晶もやはり感染症は怖い。それにベッドには新しいゴムが用意されていると聞いている。
「やっ……抜かない……でっ」
深雪の身体の奥処が慌てて締め付けられる。その心地良さには後ろ髪を引かれる思いだが、こればかりは譲れない。
「ベッドでさ、素肌で抱き合おう。深雪の夜着もグチャグチャに濡れているし、オレだって深雪を素肌で感じたいしさ。この服、どうやったら脱がせるんだ?」
絨毯の上で紅く染まった細い首を振っていた深雪の瞳に不思議そうな光が煌めいた。
「脱がせる?皆は乱暴に引き千切ったよ?」
確かに深雪の高潔さも感じられる美貌やしなやかな肌を早く露出させたいと焦ってしまう気持ちも充分過ぎるほど分かる。しかし、今の晶は手荒なことはしたくない気持ちの方が強かった。深雪がある程度本音を漏らしてくれたせいなのかもしれない。
「一晩きりでもさ、深雪を恋人として抱き合いたい。好きなようにして良いんだろ、一晩は。だったらオレの言う通りにして欲しい」
大きく見開かれた茶色に煌めく目と強く視線を絡ませて、唇を近づける。深雪の背中に腕を回して掬い上げて全身で抱き締めた。
二回目の接吻は晶が深雪の唇の輪郭を舌で辿っていると、甘い吐息を零しながら深雪の舌が積極的に絡んでくる。重ねた唇を大きく開くと深雪もおずおずといった感じでそれに倣ってくる。絡めた舌を擦り合わせると湿った水音が微かに響くのも良い。
口だけで濃密に絡み合う。晶の舌を引くと深雪が慌てて追い縋ってくるのもとても可憐で健気だ。
唇から完全に露出した舌の表面全体を晶の舌全体を細かく動かして甘い水音と深雪の薫るような舌の表面を心行くまで愉しんだ。
背中に回した腕で深雪の肢体を抱き締め続けていると、ぴったりと重なり合った二人の身体の感触が露わに分かる。深雪の華奢な一流の彫像めいた肢体がどれだけ熱く、そして淫らな変化を遂げている。胸の野苺のぷっくりと熟した感触やぐっしょりと濡れた腹部に当たる深雪が天使の彫刻ではなく生きている証の、すっかりと育ち切っては雫を零して晶のシャツを濡らし続けている深雪の淫らな欲望の象徴とか。
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