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第37話
「深雪が嫌がることはしたくない。さっきも、絨毯が敷いてあるとはいえ、床に押し倒してしまって本当に済まない。
それに、一晩きりでも深雪を好きに出来る権利を与えられたということは、逆に言うともう何もしなくても良いってことだよな?後は素肌を見るだけでオレの役目は終わるのだろう?」
一度、深雪の中で絶頂を極めた。それだけで十分なような気もしてくる。晶も深雪に深い欲望は感じているものの、深雪が好き好んでしているわけではないことを聞くとそれ以上に憐憫の情でいっぱいになる。
深雪の大きな目がさらに見開かれて純粋な煌めきを放っている。背中に回された腕の力も強くなる。
「晶は、もう僕としたくないの?僕は晶をもっともっと感じたいのだけれど、それは我が儘な望みかもしれないな」
深雪は真珠色の歯で紅色の唇を噛んだ。何かを必死で耐えている感じがとてもひたむきであどけない。二年間も見知らぬ男達に肢体を開き続けたとはとても思えない。
「深雪と何度でもしたいよ。そうでないと、こんなにはならない。深雪の中に挿りたくてうずうずしている」
昂った下半身を深雪へと押し付けた。
「んっ……僕も、晶のコレが欲しい。欲しくて欲しくて……こんなになっている」
深雪の下半身が細かく揺すられて、湿った淫らな水音と共に深雪の熱い昂ぶりが分かる。
「夜着だよね?ここを」
深雪の細い指が晶の手首を掴んで、肢体の角度を少し変えた。
「分かる?ここがボタンになっているのが」
シルクの夜着は毎晩引き裂かれているらしい。それでも豪奢な洋館に相応しい凝ったもので、深雪がシルクの布地の襞を指で開けると絹で包まれたボタンが隙間なくびっしりと並んでいた。
「なるほどな、面倒になる気持ちも分かるよ。ただ、オレは一つ一つ丁寧に開けて、深雪の肌を少しずつ露出させる方がずっと好みだ。
脱がす手間が煩雑なほど、深雪の艶めいた素肌は脱がせ甲斐があるから。ここで脱がせようか、それともベッドルームがいいか?次に深雪を抱くのは」
包みボタンを三つ外しても露出する肌はほんの僅かだ。
「ん……その一番右側のドアがベッドルームだよ」
深雪は伸び上って甘い吐息を零して晶に唇を近づけた。
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