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第39話

 最初の晩から強引に抱かれてもいる。それでも逃げ出さないのだから、深雪も重い覚悟は決めているのだろう。  晶の介入が余計なお世話でしかないのかもしれない。 「じゃあ、僕も部屋に入ったら晶の服も脱がすね。普通は、二人きりの部屋に入ってから脱がすのだろう?」   深雪の弾んだ声はまさしく天国で聞く天使の声を彷彿とさせる。 「それは嬉しいな。そりゃあ、人前で素肌を晒さないのが普通だから。二人きりの密室で脱がし合う」  晶が行きつけの――深雪のウワサもそこで聞いた――ゲイ・バーでは、色々な話しも当然交わされる。具体的な公園や森の名前が出ることもあった。そこでは恋人達が他の恋人に見せつけるように関係を持ったり、日時によっては相手構わずそういうプレイを愉しんだりということも行われているらしい、あくまでも伝聞なので本当かどうかは分からないが。  深雪の圧倒的な神聖な美貌には下世話な話しを拒む雰囲気はあるし、深雪に聞かせる話しでもないだろう。  やっと全てのボタンを外し終えた。ただ、深雪と晶の汗や深雪の放った白濁でぐっしょりと重い純白のシルクは肌に留まったままだったが。 「ここで脱がしても良いか?それとも寝室に行く?」  今も二人きりだが先程の話しの流れからすると、寝室が「二人きりになれる場所」だろう。深雪と身体を繋げた過去をリセットして、一晩きりの恋人としての関係を築くには。 「晶がこの服を僕には似合わないと言ってくれたよね?だったら、ここで脱がせて欲しい」  ボタンを全て外し終えている凝った造りの夜着は、少しの力を加えるだけで深雪の肌から離れていって紅色に染まった滑らかな素肌が露わになる。胸の野苺は予想以上の艶やかな瑞々しさだったが。 「深雪の素肌は予想以上に綺麗だ。腰骨の上の青いアザは生まれつき?」  目を瞑って晶の指の感触と、視線の熱さを楽しんでいるかのような深雪の腰骨の上には、青というか、紫というか怪我ではなさそうな不思議な色合いの場所があった。とても綺麗な色と形だったが。 「アザ?どこにっ?」  焦ったような、驚いたような不思議な響きだった。 「ここ、だけど?紫がかった碧い綺麗な色が深雪には良く似合うけど?」  そんなに驚くとは思ってもいなかった。

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