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第57話

 情事の余韻で薄紅色に染まった白皙の額に汗まで浮かべている様子がとても健気だ。 「そんなことを言ってくれたのも晶だけだよ。晶は僕のボタンを器用に外してくれたけれども、僕には出来そうにない……」  深雪は天使長だかに叱られたようなとても悲しそうな表情を浮かべている。 「いいさ、初めてなのだから仕方ない。ボタンを外すのは今後の二人の恋人としての課題にしよう、な?ベッドにさ、上向きで横たわって、シーツを被ると良い。オレはその上から抱きしめるから」  深雪の泣きそうな顔は泣きそうな天使が慌てているといった感じだった。眼差しで促すと深雪の肢体は純白のシーツを被って横たわった。  手早く全裸になると、シーツごと深雪の肢体にゆっくりと覆いかぶさって背中に手を回して抱き締めた。  深雪は陶然とした表情で晶のなすがままになっている。 「本当だ……。とても、とても気持ちが良い。こういうことを恋人はしているんだね。  さっきの話しの続きだけど……」  深雪の感じる場所は注意深く避けて、話を聞くことにする。ただ、下半身は体重の逃がしようがあるが、胸の野苺は晶の胸をツンと弾いている。その硬い感触を楽しみながら細い首と幾分小さな頭部に手を添えて深雪が話しやすい形に固定した。 「晶が、もし良かったらなのだけれども……僕は直接、肌に触れたい。これってヘンなのかな?」  純白のシルクのシーツを纏った全裸の深雪が途方に暮れた気高い表情で少しだけ絹から肢体を浮かせている。  しなやかな白い手が深雪にはとても良く似合う上に野苺の胸の粒は練乳をかけた苺のようにとても綺麗だった。 「変ではないよ。オレだってシーツ越しではなくて、深雪の肌を感じたい。  ただ、深雪の目眩く魅力に負けてしまって話どころではなくなるかも知れないけれど」  処女雪を纏った深雪の素肌と気高く美しい容貌に見惚れながら、深雪の素肌に直接体温を感じた。 「うん。最初は、話しだけだよね?その後は、晶が良いように抱いて欲しい。この部屋では初めて触れ合う恋人のように……。そして客用の寝室では、僕がどんな風に抱かれていて昏い悦びに耽っていたのか、晶にも知って欲しい。それが普通の『恋人』なのだよね?」  晶が行きつけのゲイ・バーで仕入れてきた深雪の噂を裏付けるような淫靡な微笑みを浮かべている深雪は、まさに堕天使の微笑みだった。

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