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第66話

「うん、そうだね。これから晶が傍に居てくれるのだからとても安心だよ?  明日の朝に弥栄子さんに報告して、お披露目が済めば……僕はもう自由だ。どこに行こうとね。あれこれと口出ししてきた分家の人間も、コレを見せれば僕に何も言う権利はなくなる。本当に有り難う。  そして、これからは『恋人』として、改めて宜しくお願いします。晶に色々と教えて貰うことも多いと思うのだけれども」  深雪の茶色と黒が混ざった瞳が涙で煌めいた。 「こちらこそ。深雪と出会えて本当に良かった。屋敷の中でも、そして外でも色々な話をしよう……な?」  深雪が軽く眉根を寄せる。唇は花を咲かせたように艶やかな笑みを浮かべていたが。 「話し……だけ?」  腕の中の清らかな堕天使は晶の腰の辺りに細い手を絡めてきた。 「いや、話しだけじゃなくて、素肌でも充分にコミュニュケーションを取ろう。  深雪が『主人の証』を手に入れた、いわば生まれ変わったお祝いに、この部屋で深雪を奥まで感じたい。ほら、深雪の中に挿りたくて、もうこんなになっている」  お互いの熱い塊を直に擦り合わせた。 「んっ……僕も……とても……晶が欲しい」  一度目とは違って恥ずかしそうに上気した頬と片手が枕に縋っている。初心な無垢さを象徴する白いシルクの枕に紅色に上気した素肌が艶めかしい。  ただ、晶が腰を細かく揺するとその動きに連動して白い足が要を失った扇のように開いていく。野苺の熟した赤は禁断のリンゴの紅さのようだった。 「深雪……。感じるままに声を上げて。  深雪の精神は天使のように清らかで、そして身体は『生まれた時』から堕天使の敏感さを持っているのだから」  耳朶を甘く噛みながらそう告げた。  過去ではなく、生まれながらの魔性ということにして有耶無耶にする方が良いような気がした。

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