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第6話
曲名は「探しもの」。
鍵盤の音を煌めかせたアップテンポな曲。
「〜もう一度 この手に〜♪〜」
このサビの部分で
張り上げて歌っているのが好きだ。
全体的に綺麗なのに疾走感もあって聴いていて楽しい。
それでいて、歌詞は繊細というか、
ストレートなんだけど含みがあるというか。
azuの曲はいつもそうだ。
二つ目に投稿した曲は「JUICY」という曲だったが
少しセクシーな歌詞だけど
何について歌ってる曲なのかは掴めなかった。
きっと俺みたいな普通の人には
azuの感じてることなんて理解できないんだろうな。
「azu*lblue3»投稿お疲れ様でした。
azuさんの作る曲が世界で一番好きです。」
コメントを打ってから
俺はベッドにごろんと横になった。
コメントを打つ時に消え去っていく語彙力を
何とかしたい。
簡単に世界で一番、とか打ってしまったが
本当の本当に好きだと思ってる。
が、それが伝わらない語彙力を何とかしたい。
ちなみに、初投稿「僕を見つけてくれた君へ」の
コメント数は10件程だった。
投稿後すぐ、ではなく、しばらくしてから
じわじわとそして爆発的に話題になったからだ。
俺は投稿された後すぐにコメントしたから
その10件の内の一人になっている。
前回の動画へのコメント数は60件程だから
全部読めたかもしれないが
今回はすでに120件を超えており、
まだまだコメント数は伸びそうな気配である。
もう全てのコメントを追うことは出来ないかも。
でも、それでも。
初投稿の10件はきっと、恐らく、多分、確実に
目を通してくれているはず。
俺の言葉がazuに届いてるはず。
それだけでいい。
そんな少しの優越感で十分幸せだ。
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