azuの情報が欲しくて、片っ端からネットを漁る。 なんでもいいから少しでも知りたかった。 声と曲が好きすぎるという点で また分かる情報が少ないという点で どっぷりazuにハマってしまった俺は Twitterとvommitationを行き来して 時間を費やすことが増えた。 vommit投稿者のTwitterをいくつかフォローしたが azuと仲良さそうな人は見つからなかった。 時々｢azuくんの曲めっちゃ好き｣とか azuに関するツイートをする人はいた。 その人のリプ欄にはazuファンが押し寄せ ｢あずくん知ってたんですか？！｣ ｢コラボしましょうよ！｣ というリプで埋め尽くされることがしばしば。 以前、azuのことについてツイートしたsakuさんは あれから特にazuに関する話はしなかった。 しかしazuの効果は大きかったようで、 フォロワー数が1.5倍程増えていた。 みんな、また何かazuの情報を載せてくれるのでは ないかと期待しているのだ。 azuが声を発したあの貴重な動画は 消されてしまったので、 俺はあの時聞いた声を繰り返し思い出し 忘れないように気を付けていた。 ｢……え？動画？｣ 歌ってる時とは違い、 ふいに撮られたからか力の抜けたふわりとした声。 願わくば、もう一度聞きたい。 vommitから通知が来た。 ｢azuが掲示板に投稿しました｣ お？！ ほぼ反射神経で画面をタップする。 新曲の予告かな？ 前の投稿から2週間が経とうとしていた。 azuの投稿ペースなら もう新曲が作られていてもおかしくはない。 ｢｢僕を見つけてくれた君へ｣の再生回数が 30万回を突破したそうです。ありがとうございます。 今後ともよろしくお願い致します。azu｣ 30万回！2ヶ月で！ 俺は部屋で一人目を見開いた。 vommitでは、実力のない人は 切り捨てられやすいシステムになっている。 すなわち現在vommitに投稿している人達は 人気、実力ともにある人たちばかりというわけで。 そのため再生回数もバラけやすく、 100万回達成した動画は 数える程しかないんじゃないだろうか。 そんな中、初投稿で30万回いくなんて相当すごい。 胸がじんと熱くなる。 すごいなぁ。本当にすごい。 vommitationを開くと みんなの賞賛のコメントで溢れ返っていた。 うんうん、分かる。 心の中で頷きながらひとつひとつコメントを読んでいく。 ああ、ここにある言葉が全てazuに届けばいいのに。 好きだ。 努力家で才能のあるazuが好きだ。