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第23話

sakuさんと別れて帰路につく。 Twitterの動画は消してもらった。 代わりに謎に手の写真を撮られたけど、 動画よりはいい。 sakuさんは色々強引ではあったけど 誰かとvommitの話、というか、音楽の話が できるのはやっぱり楽しかった。 学校の子達とはなかなか出来ないし、 増してや自分がazuだなんて言えるはずもない。 あ、でも一人だけ。 一人だけ、俺がazuだって知ってるやつがいる。 「蒼」 後ろから声がして振り向いた。 「冬弥!」 冬弥は家も近く、昔から仲良くしてくれている友達だ。 俺がazuとして活動していることも知っていて 俺の事は何かと理解してくれる、というか 理解してくれようとする。 「礼央たちとカラオケ行った?」 「蒼がいないのに行っても意味無いだろ」 「意味無いことはないでしょ」 そのまま自然と並んで歩く。 冬弥は不意に俺の手を取った。 「何?」 「迷子にならないように」 「はぁ?ならないよ、離して」 手をブンブンと降ったが 冬弥は逆に手の力を強めてきた。 「蒼はすぐ変な男の方にフラフラ寄ってくから」 「それ、sakuさんの事言ってる? vommitの先輩だって何回言えば分かるの?」 「わからない」 冬弥はさらにきゅっと指を絡めてきた。 なんか、恥ずかしいんだけど。 「冬弥、離してってば!」 「はいはい、家ついたよじゃあね」 声を荒らげると、呆気なく冬弥は手を離した。 ふと顔を上げると、確かに俺の家の前。 そこで気づく。 家まで送ってくれたのか。 「あ、ありがとう…」 「次からちゃんと連絡しろ。迎えに行くから」 「え?いいよ別に…」 「心配だから、俺が」 冬弥は俺をじとっと睨んだ。 女の子でもあるまいし、一体何が心配なのか。 そんなに俺って頼りないのかな。 素直にこくん、と頷くと 冬弥は満足そうに微笑んで帰って行った。 冬弥はいつもそうだ。 いつも優しくて、甘やかしてくれて 俺に近づこうとしてくれるが 俺は成長するにつれ 冬弥が何を考えてるのか分からなくなっていった。 今も、何で手を繋がれたのか分からない。 冬弥の距離の取り方が、俺には分からない。

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