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第29話

「恋色ベリー可愛すぎて死にそう、死んじゃう」 伊咲から電話がかかってきた。 LINEだけでは興奮が冷めなかったようだ。 azuとnyaoのコラボの曲名は「恋色ベリー」。 sakuさんのTwitterによると 甘酸っぱい恋愛模様を描いた曲とのこと。 「もー、このままユニット組んでくれていい」 「さすがにそれは無いだろ」 「夢見せてくれ〜わーーん」 耳元で伊咲の嘆く声がする。 azuとnyaoがユニットを組むとなると 結構荒れる気がするけどなぁ。 「でもほんと意外。 曲提供ならまだ分かるけど一緒に歌うなんて。」 「ほんとにな。 nyaoに合わせられるとかazu器用すぎ」 「ねぇ!nyaoくんも褒めてよ!」 その時、携帯が鳴った。 vommitからの通知だ。 「あ、通知来た」 「来たね」 「あずくんの掲示板じゃない?」 伊咲の予想通り 「azuが掲示板に投稿しました」の文字が見える。 「あー、ドキドキして見れない」 「分かる」 「ちょ、読んで読んで」 「俺が?!」 「うん」 俺だって見るのドキドキするんだけど。 伊咲が「無理」「無理」と連呼するので 仕方なく通知を開く。 声に出してそれを読む。 「nyaoくんとのコラボで恋色ベリーを歌いました。 感想くれた皆さんありがとうございます。azu」 「なんか、いつもにも増してシンプルだねぇ」 そうだな、と頷きかけた俺は 画面をスクロールして声を上げた。 「あ、ちょっと待って」 「P.S. 可愛いのは僕じゃなくてnyaoです!」 俺と伊咲は口を揃えて叫んだ。 「「いや、可愛いのはazuもだよ!!!!!」」

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