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第31話

sakuさんの書いた歌詞はキャンディみたいに コロコロした甘いラブソングだった。 俺には書けないなぁ、と思ってちょっと悔しかった。 書きたいかどうかは置いといて。 先に書いてくれた詞に合わせて曲を作った。 nyaoの曲を色々聞き漁ったところ、 richirichiさんという方が主にnyaoに曲を 提供しているようだったので 途中からrichirichiさんの曲を聴きまくった結果、 今回はアコースティックギターで音を入れてみた。 大体いつもストラトかテレキャスを使ってるから 珍しいのではないか、と思う。 目を瞑って俺の音源を聴いていたsakuさんは ふと目を開けて音を止めた。 「あずくん、ここどんな感じ?」 「あ、そこは…」 歌おうと口開いたが、そこでピタッと止まる。 え、この歌詞を歌うの恥ずかしいな。 sakuさんと目が合う。 恥ずかしいとか言ってる場合ではないか… 「…ふわっふわ、君と〜、ラブリーミュージック〜…」 いや、やっぱり恥ずかしいだろ!!! 最後の方はめちゃくちゃ小声になってしまった。 ちらっとsakuさんとnyaoを見ると ニヤニヤと口角を持ち上げている。 ぶわっと身体の体温が上がった。 「何笑ってんすか!!!!」 「やー、あずくん可愛いね〜可愛い〜」 「照れてるのキュンとしちゃった〜 azuくんこういう系統の曲歌わない、というか 作らないですもんね」 二人から同じようなことを言われ さらに恥ずかしくなった俺は小さくなって俯く。 だって、しょうがないだろ! 経験値が無いんだから! 「あずくんも歌ってみたら?」 sakuさんの言葉にギョッとする。 「えっ?!?!」 「勉強になるかもじゃん?」 それはそうかもしれないが。 「えーーーーっ!歌いたい!コラボ!azuくんと!」 nyaoはキラキラと目を輝かせた。 だから、そんなに喜ばれると擽ったいってば。 「……歌います」 nyaoの目に負けて俺は頷いた。 sakuさんはニヤッと笑う。 「nyaoに負けないように可愛く歌えよ?」 nyaoに負けないように? チラッとnyaoを見ると目が合った。 nyaoは首を傾けてニコッと笑った。 「ふっわふわ、君と〜、ラブリーミュージック♡」 確信した。 ……勝てるわけないでしょ。

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