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第43話
「次はいつ来ますか」だって。
思わずくすくす笑う。
何だったんだろう、あれ。
年上とは思えない言動に笑いそうになり、
堪えるのが大変だった。
でも、綺麗な顔立ちをした人だった。
俯きながら喋っていたから
睫毛の長さが際立ってて
そこにばかり目がいってしまった。
部屋へ戻ると礼央達にぶーぶーと文句を言われる。
「蒼ー!おっそい!」
「ごめんごめん」
あんまり申し訳ないとは思ってないけど
とりあえず謝る。
なんかめっちゃ冬弥に見られてるけど
とりあえず無視をする。
「蒼くん帰ってきたし〜
次は何歌って貰おうかなぁ〜」
横江さんがデンモクに目を通す。
次の曲が入れられる前に
「ごめん、俺帰るね」
と、鞄を肩にかけてふらりと立ち上がった。
「え、帰んの」
「うん、ちょっと」
「えーなんでだよー」
もう、歌う気なくなっちゃった。
だったら、さっきの、
七瀬さんと話してる方が数倍楽しい。
なんて、言えないから適当に笑って誤魔化す。
「蒼帰るなら俺も帰る」
冬弥も立ち上がった。
「冬弥まで帰んの?!?!」
「蒼がいないのにお前らといる理由無くない?」
そんなことないだろ。
なんて、辛辣なことを言うんだ。
俺は冬弥をゲシッと蹴ってから
自分の分のお金を机に置き、足早に部屋を出た。
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