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第52話

「まさか学校で会えるとは思わなかったぁ」 蒼くんはニコニコと笑う。 「さっきのあれ、なんですか?痴話喧嘩?」 「全然違います!!!」 思わず声が大きくなった。 蒼くんは楽しそうに肩を揺らして笑う。 「ごめんなさい。 男が男に告白されてるの、初めて見たから」 「え?」 この間のカラオケで会った冬弥くんを思い浮かべる。 彼ともこんな風に手を繋いでいたのに。 「冬弥…くんは?」 「え?冬弥?なんで?」 「あ…いえ…」 どうやら、付き合ってるわけでは無さそうだ。 それならなんで指を絡めて手を繋いでたんだ。 こんな風に…。 ばっと手を離した。 いつまで俺は手を繋いでるんだ!!!!! 田原くんはもう見えなくなってるから 手を繋いでる必要は無い。 それに、なんか申し訳ない。 「すみません、あんなことさせちゃって…」 そこで、ふと気づく。 azuだ!!!!!! 俺、azuに何させてんだ?!?!?! 「ほんとにすみませんでした!!!!」 ガバッと勢いよく頭を下げた。 蒼くんはぎょっとする。 「え?!いや、そんな、全然大丈夫ですよ?!」 「いや、もう、申し訳ないです!!!」 「七瀬さん顔上げて?!」 七瀬さん。 その声にぱっと顔を上げた。 呼び方、七瀬さんに戻っちゃった…。 って、そりゃそうだろ!!! 付き合ってんじゃないんだから!!!! 「七瀬さん、百面相」 蒼くんはくすくす笑った。 恥ずかしくなって、俺は俯く。 「いや、でも、ほんとにすみません…」 「あ、じゃあ何かお礼してください」 蒼くんは人差し指を立てて提案した。 「来週のこの時間、 学食のオムライス定食でどうでしょう?」 azuとご飯…?! 俺は思わず目を輝かせてしまった。 それ、俺にとってご褒美でしかないけど、 いいんですか?

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