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第59話

そして、約束の週末。 「あーずーくーんっ」 nyaoの声がして、俺は顔を上げた。 待ち合わせは駅前。 行先はnyaoの家。 「お待たせ〜」 パタパタと駆けてくるnyaoに向かって手を振る。 nyaoと会うのはコラボ曲「恋色ベリー」を 録った日以来だが、 そのあともしょっちゅう連絡を取り合っていたので あまり久しぶり感はない。 「どっかでご飯食べてから僕んち行こ〜 azuくん、何食べたい?」 「nyaoが食べたいのでいいよ……って 外でazu、nyaoって呼び会うのまずくない?」 azu、はまだいいとして nyaoなんて名前、日本人には滅多にいないから 速攻でバレそうた。 nyaoは首を傾げた。 「じゃあ、本名?」 まあ、そうなるよな。 お互いに自己紹介をする。 「一葵 蒼」 「奈津 陽太!」 「なづ ひなた…」 どんな字を書くんだろう。 ふと、真央さんの顔が浮かんだ。 お互いの名前を書きあった日。 あの日の手の感触は、今でも鮮明に思い出せる。 nyaoは、ニカッと笑った。 「陽太でいーよっ」 「陽太」 明るいnyaoにぴったりの名前だと思う。 「俺も蒼でいいよ」 「蒼くんね!蒼くん蒼くんっ」 尻尾を振って喜ぶ、nyaoの時と何ら変わらない反応に 俺はぷっと吹き出した。

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