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第60話

陽太が選んだのはパスタの店だった。 俺はカルボナーラを、 陽太は明太子ソースのパスタを注文する。 「あ、Twitterあげてもいい?」 陽太は携帯を取り出した。 なんだ、写真を撮るのか? 眉をひそめていると、陽太は慌てて手を振った。 「写真はあげないからっ! あずくんとご飯食べてるよーって、文だけ!」 必死さが面白い。 「いいよ」 俺は笑いながら頷いた。 陽太はこまめにTwitterを更新するし 掲示板だって告知などでちゃんと動かしている。 放送も定期的にしているし 動画も頻度はそんなに多くないものの コンスタントに上げている。 「マメにしてて偉いなぁ…」 俺なんて、曲作るぐらいしかしてない。 と言うと「それがすごいんだって!」と笑われた。 「蒼くんもすれば?」 「何を?」 「Twitterとか?」 陽太はそういった後、すぐに首を振る。 「あ、やっぱ蒼くんはしない方がいいかも」 「なんで?」 「蒼くん有名だからさぁ 変にTwitterやると大変なことになりそう」 大変なことって何だろう。 「そうかなぁ」 「そうだよ、多分、通知がバカになって 携帯の充電がどんどん無くなって大変だよ」 大変ってそういう意味か。 思ったよりも子供っぽい理由だった。 陽太は、やっぱりパスタの写真と一緒に ツイートしよ〜と呟いて携帯をしまった。

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