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第74話
「うわーーー!田舎!!!めっちゃ田舎!!!」
電車から窓の外の景色を眺める蒼は
楽しそうに声を弾ませた。
流れるように過ぎていく岡山の景色は
緑が多く、確かに田舎の風景である。
「分かったから落ち着いて?」
と、俺は苦笑い。
最初からこんなにハイテンションだったら後が心配。
まだ今日は始まったばかりだというのに。
それにただでさえ
最近azuとしての活動が忙しく、
数日前にコラボ曲が上がったところだった。
疲れて倒れられても困る。
「蒼、ちょっと寝といたら?」
「えー、寝るのもったいない。
せっかく真央さんといるのに」
むせそうになった。
これを素で言ってくるんだからタチ悪い。
「後で疲れても知らないよ」
「そっか…そうですよね」
蒼は深く座り直した。
「何か面白いもの見つけたら起こしてくださいね。
それか写真撮っといて後で教えてください」
多分、ずっと田舎の景色ばっかりだと思うが
蒼の可愛い申し出に俺はうんうんと頷いた。
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