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第78話

ミュージアムを見終えた俺たちは その足でホテルにチェックインした。 部屋はツインベッドで 壁には先程地中美術館で見た作品が飾ってある。 テラスからは瀬戸内海が見え、 学生が泊まるには豪華すぎる気がしないでもない。 テレビがない代わりに 小型のオーディオが置いてあった。 フロントからケーブルを借りてこれば iPodと繋いで好きな曲をかけれるらしい。 それはすごく魅力的だ。 「ん〜〜!眠い!」 蒼はぼふっとベッドに身体を埋める。 「寝るなよ〜」 「んー…寝たい…」 「先に風呂はいって」 「んー」 お風呂を覗くと、ユニットバスだった。 どこかの有名ブランドによりデザインされた 白くて清潔感のある浴室だ。 「お湯はりたい?」 「シャワーでいいよ〜」 蒼はリュックの中を漁りながら答える。 俺も蒼も荷物が少なくて済むタイプで良かった。 二人ともリュック一つで事足りたから 部屋が荷物で散らかることはなさそうだ。 「じゃーお先に失礼します〜」 「おー」 蒼が浴室に消えていったのを確認したあと 俺もぼすっとベッドに寝転ぶ。 すっげー綺麗なところだな。 目を閉じて微睡む。 来てよかったなぁ…。 危うく俺も寝そうになって、携帯に手を伸ばした。 そういえば、伊咲からLINEが来てたな。 「ねぇ!愚痴っていい?!」 その不穏な文章は2時間前に送られてきていた。 どうしたんだろう? 「いいよ」と返すと、すぐ既読がつき その後怒涛の愚痴LINEが送られてきた。 「なんかさぁ! こないだnyaoくんとあずくん放送したじゃん?!」 「それでさnyaoくんいらなくない?とか あずファンが言ってんの!」 「ほかのコラボ曲でもさ、 あずくんだけでいい!とかさぁ! あずくん以外の悪口言ったりとかさぁ!」 「それを本人の掲示板に書くの!わざわざ! ほんとに信じらんない!!!」 おーおー。 めちゃくちゃ怒ってらっしゃる。 立て続けに来るLINEに 内容を読むよりもまず笑ってしまった。 改めてじっくりLINEを読むと、 なるほど、それは確かにマナー上良くない。 「あずファン過激じゃないとか こないだ言ったけど前言撤回!!マナー悪すぎ!!!」 「あずくんがこれ知ったら悲しむよ!! っていうか、もう知ってて悲しんでるかもしれない!」 伊咲の言葉に小さく笑う。 azuなら今俺と一緒にいてのんきに風呂入ってるよ。 なんて言えないけど。 そんなに怒ることなんだろうか。 そんなの、名前も顔も知らない、 どこか遠くのネット上の人が騒いでるだけだろ。 azuには何ら関係ないし、 ファンの言葉にazuには何の責任もないし。 放っとけば収まるだろ。 俺はそれを他人事のように捉えていた。

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