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誰にも言わずに、胸の中でひた隠しにしてきた想い。
苦しくて切なくて。でも、大切にしていた想い。
それが、突然暴かれて……しかもよりによって佐野に知られていただなんて、汚された気さえしてしまう。
じわじわと目頭が熱くなってくる。でも、この込み上げてくるものが怒りからか、絶望からか、それすらも判らない。
「神谷。そこは否定しとかないと。そんな顔してちゃ、誤魔化しようがないよ」
「な、に」
「カマかけてみただけなのに見事的中ー。やっぱ真壁のこと好きだったんだ?」
にっこりと人のいい笑みを浮かべる佐野は、なるほどモテるだろうなあとどうでもいい考えが頭を過ぎる。
愛想を振りまいて、人を寄せ付けて好かれて、頼りにされて。……どうして、俺相手だとそれができない? ゲイだからか。俺が、男しか好きになれないから――男が好きな俺が可笑しいから、こんな馬鹿にしたような態度なんだろうか。
「大丈夫。神谷の想いはだーれも気付いちゃいないよ」
「……」
腕を引き寄せられ、耳元に唇が近付いてくる。ぞわり、と背筋に悪寒が走り逃げたくなったけれど、強く引く腕が離れることを許してはくれなかった。
「俺と神谷だけの秘密」
な? と首を傾げられても、ときめきもしない。
誰もが好印象を抱くこの笑顔の裏に、どす黒い感情が秘められていると気付いた人は何人いるんだろうか。
今まで気付くことのなかった佐野の本性に、目の前が真っ暗になる。
俺の人生は、ここで終わるんだと。
ずっと好きだった真壁は聖とくっつくわ、ネガティブ思考はループするわ、おまけに人生最大の秘密をいけ好かない鬼畜野郎に知られるわ。何なの、今日。
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