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身長差があるということは、それなりに足の長さも違うわけで。
ずかずかと歩いていく佐野は、歩幅の違いも気にせず俺から離れていく。このまま、人ごみに紛れてこいつを撒いてもいいんじゃねえのかなってくらい。
小走りになりそうな速度で追いかけるのがもうあほくさい。俺は、こいつに用なんかないのに。何を必死こいて追いかけなくちゃいけないのか。
背中にじわりと汗が滲んできて、それだけでもう総てが馬鹿らしくなって足を止めた。
息は上がるし、腹減ってきたし。何なの、マジで。言えっつうから言っただけなのに。何であいつキレてんの。
「めんど、くせ」
膝に手をついて、乱れたがる呼吸を好きに吐き出させて目を閉じた。
もう、いい。あとでメッセージでも送っときゃいいだろ。とりあえず、喉が渇いた。
「ん」
「あ?」
突然目の前に現れたミネラルウォーター。
ゆっくりと視線を上へと移動させれば、ミネラルウォーターを差し出す佐野が立っていた。すっごい、申し訳なさそうな顔をして。
「何」
「悪い」
「は?」
お前が小さいの、忘れてた。
ぼそりと呟くとそのまま俺の頬にペットボトルを押し付けてきた。……冷たいんだけど。
それに、169だからそんなに小さくねえし。四捨五入で170だし!!
お前なんか無駄に身長ばっか伸ばしてるから身体付きはひょろっひょろで真壁と同じ185には全く見えんわまったく!!!
――以上を口に出すのも億劫なので視線に乗せて睨みつけると、佐野はばつが悪そうに俺かから目を逸らした。
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