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◆◇◆◇◆  佐野に引っ張られ続けて辿り着いたのは大学。  まさか行きたいとこってここかよ。  やっと足を止めた佐野に掴まれていた腕を振り払うと、残り半分となってしまった悲しい姿のコーラを一気に飲み干した。うええ、炭酸抜けまくっててくそまずい。 「知ってるか、神谷」 「何をだよ。うえ、げろ甘。まずっ」 「――」 「はい?」  うまく聞き取れなくて首を傾げた俺を、眉間に深い皺を刻んで睨んだかと思えばまた大股で歩き始めた。  俺の腕を掴んで離さない佐野の掌は、少しだけ汗ばんでいた。なのに、やけに冷たくて。  歩きっぱなしで額に滲んでいた汗が一気に冷えていった。  ……なんで、こんなに嫌な予感がするんだろう。  再び佐野が足を止めた時、額や背中に流れていた汗はすっかりひいてしまっていた。  状況が落ち着いたからなんかじゃない。  その足が、向かう場所が、怖くて。 「さの」 「……」  とん、と背を押されて前に押しやられる。  だけど、足が竦んでまともな一歩も出せない。  俯こうとした顔を、背後から伸びた手が許しはしなかった。  じわじわと煩い蝉の声を聞きながら、俺は視線を"そこ"へ向けた。

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