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 泣き言しか吐かなかった口からは嬌声が漏れ出て、抑えようとすればするほどに、弱いことろを攻められ我慢などできなかった。  シーツをぎゅっと握り締め、襲い来る波に耐えた。  止まらない涙のせいで枕はぐしゃぐしゃに濡れて気持ち悪いし、身体中に力が入って半端な快楽しか拾えない。  このまま、佐野が与えてくる快楽に素直に従ったほうが楽なのだろうか。  だけど、何の抵抗も出来ないままこんな奴に大人しく抱かれるなんて。 「さ、の、」 「黙ってろ」 「佐野……!」 「……何」  そこを弄る手は止めないまま、ゆっくりと佐野が顔をこちらに向けた気配がする。    ゆるゆると浅いところを擦られ、自然と腰がその動きについていこうとするから、ぐっと力を入れて耐えて枕から顔を上げた。 「おとこ、だぞ。おれも、お前も」 「そら見りゃわかる」 「これ以上は、後悔、する。絶対」 「……」  涙でぐしゃぐしゃに濡れた視界では、やっぱり佐野の表情はわからない。  本当にわかってるのかな、こいつ。  一線を越えるということは、元には戻れなくなるんだってこと。 「――今更、だろ」 「あッ……!」  仰向けにされ、勢いよく引き抜かれた指の代わりに熱いものが押し付けられた。  息を飲むことも、歯を食いしばることもできないまま、両脚を大きく開かれ大層な質量のそれがぐっとはいってきた。無遠慮に肌がぶつかる音と、俺の口から漏れ出る情けない声。それだけが、佐野の部屋に響いた。  俺を気遣うそぶりもないくせに、やり場なくさまよっていた両手を握られ、つい強く握り返してしまった。  やるなら、徹底的にやって欲しい。無駄な優しさなんか、見せてくれるな。  縋れる場所も、相手もいない哀れな俺は、つい――縋ってしまうから。

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