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最高潮にご機嫌な佐野はキャラが崩壊していることも構わず、ひらひらと俺の眼前で手を振った。
「ま、とりあえず飯食わね?」
「お、おう」
「嫌いなモンは?」
「特にない」
おお、偉い偉い。などと続けて佐野はキッチンへと向かう。
あれだけ俺のやることなすことボロクソに貶していたくせに、何なんだあれは。
首を傾げて視線を下げると、素っ裸の胸板が視界に飛び込んできた。
だけど問題はそこじゃない。
「……」
ギシ、と小さな悲鳴を上げて軋むベッド。
その上を這っていき、すぐ傍にある鏡の前に立つ。
胸と、首筋。二の腕に腰、内腿。至るところに赤い痕が残っている。
蚊に刺されたんだろうとスル―したいが、こんな急所ばかり狙う蚊が居て堪るか。
途中から理性なんかぶっ飛んでたせいで、いつこんなに痕を付けられたのか見当もつかない。
じれったくて、愛されているのだと錯覚しそうになるほど丁寧な愛撫を思い出し、全身がかっと熱くなる。
気持ちいいと、素直に思った。
その痕が、この身体に残っている。
ひとつひとつなぞっていくうちに呼吸が乱れ、一番際どい場所――脚の付け根にある、より濃い色のそれに指先が触れた瞬間、ぶるりと全身が震えた。
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