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「佐野郁斗の変化」っていうまとめ記事が目について、ためらいながらタップすると佐野の部屋にあった写真がトップにでかでかと載ったページに繋がった。
両親と離れて暮らすようになったのは、中一。
原因は判らないが、色んなイベントに両親とともに出演していた佐野は13歳でぱったりと姿を見せなくなったと書かれている。
その後、両親は活動の拠点をニューヨークに移し日本に戻ることはなくなったと。
ひとり残された佐野は、街で声を掛けられても大した反応もせず愛想が悪かったらしいが、それをよく思わなかった誰かが「だから捨てられたのだ」と指摘したことがきっかけで変わったと。
にこにこと笑い、気さくに対応してくれるようになったと喜んでいるその記事に鳥肌が立った。
「有名な親が居て、欲しい物は全部手に入って、何不自由なく暮らせて……羨ましい……?」
嬉々として綴るその記事に吐き気すら覚えて、そっとページを閉じた。
添付されていた隠し撮りされたのであろう幼い佐野の写真が、頭から離れない。
何の表情も浮かべず、俯いた佐野。
「……親の、ため……?」
ネットに書いてあることが、すべて真実とは思わない。だけど、あの表情だけは、あいつが過ごしてきた時を表している。
自分のせいで親があることないこと言われないようにと、必死だったんじゃないかって。
ひとりきりで、ずっと耐えてきたんじゃないかって。
呆然と立ち竦んでいると、握り締めたスマホがぶるりと震えて着信を知らせてきた。
『さっきはありがとな』
短くて無愛想なメッセージはアプリを開かずとも目に映って胸が苦しくなった。
こいつは、優しいんだ。きっと。俺が知る、誰よりも。
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