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「……佐野」
――なんで、あいつらと一緒に居たんだ?
問いかけは咥内に留まり、言葉になることはなかった。
佐野が自ら望んで彼女たちと居たわけではないと確信できる。
でも、あくまで俺の憶測だ。
こいつからは、まだ何も聞けてやしない。
「さーのー」
「んんんんー」
身を捩る佐野の下腹部に座って顔を覗き込む。
玄関の灯りが眩しいのか両手で目を覆う佐野は唸りながらゆるゆると首を振った。
勃つからどけ、と。呟いて。
「えっ」
「勃つ」
「何で」
「何ででもだよ」
酔っ払いの舌ったらずな言葉なのに、やけにまっすぐ届く。
わざとなのかそうでないのか、やけにゆっくりと時間をかけて外されていく腕に隠れていた青い目は赤く潤んで、酔いがさめてないことはわかっていたのに。
なぜか、視線が逸らせない。
「ちょ、」
気付いた時には、腕を掴まれて口を塞がれてた。
きついアルコールと、煙草の匂い。
ぐちゃぐちゃに混ざり合って、脳内を刺激してくる。
ただキスをされて、唇を熱い舌で撫でられただけなのに。なんで。
引こうとした後頭部をがっしりと掴まれて、佐野の舌は角度を変えて俺の咥内を刺激してくる。熱い。どうしよう。すげえ、熱い。
「んっ、む!?」
後頭部の押さえつけが少し弱まったと思った瞬間、尻をつるりと撫でられた。身を捩って避けようとしても長い手足を持つ佐野からはそう簡単に逃れられない。デニムの上から執拗にさわさわしてくる。
その、下。ちょうど、俺のそこの、真下。すんごい硬いのが当たってる。知らないぞ。俺知らないぞ。こんなに酔っぱらってるのにこんなに元気な奴、初めて見た。
「ば、ばかやろ、っ」
「……」
ぐいーっと胸板を押して仰け反ろうとしたらぎゅっと摘まれて全身の力が抜けた。ちくび! やめろ!!
熱くなった顔で佐野を見下ろしたら、予想していた意地の悪い笑みではなく至極真面目な顔で俺を見ていた。乳首摘んでるくせに。
「酒、入ってない時がよかったのに」
「あ?」
「こんな予定じゃなかったのに」
「何が」
じっっっ。
見つめられて顔面に穴が空きそうなんだけど。あと乳首を人質に取られているせいで動けない。いや、ちく質か。あ、どうでもいいか。
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