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「は、はぁぁ……」
足に力が入らなくて、ずるずると崩れ落ちそうになるのを佐野の腕が後ろから抱きとめた。
同時に力をなくした佐野自身が出ていき、切なさにも似た感情が満ちていく。
「んあ、」
佐野に身体を預け、小さく息を吐き出しながらそれを耐えると耳元に熱い吐息が落ちてきた。
「煽ってんじゃねえ」
「煽ってねえよばか」
散々出したんだ。これ以上やってたまるか。
身じろぎをすると生温かいものが腿を伝い、それだけで身体が震えた。
煽ってねえし誘ってねえからそんな熱っぽい視線向けるのやめろ。
つつ、と俺の顎を撫でた佐野は微妙な笑みを浮かべてキスをしてきた。
官能を誘うような動きではなく、そっと触れるだけのそれに小さく肩が跳ね、思わず手を伸ばして佐野を引き寄せた。
ああ、満たされたよ。これ以上ないくらいに満たされた。
――なのに、なんでお前はそんなに不安げな顔してるんだ。
「……風呂。入れてくる」
「お、おい」
突然抱き上げられたかと思えば、スタスタと競歩並に速い足取りで寝室に運ばれベッドに落とされた。
そのまま、中途半端に服を脱がされた身体にシーツをかけられる。
出したもので汚れてしまう、と剥ぎ取ろうとすれば鋭い視線が「そのままで居ろ」と制してきた。
ついびびって大人しくシーツに包まり、こくこくと頷いた。
俺の様子に佐野は小さく溜息を吐き出して浴室へと向かってしまう。
……なんだよ。さっきまであんなに可愛かったのに。
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