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ー友情ー

望はある非番の日に買物がてら、雄介が働いているという消防署の前を通る。 消防署の外では訓練をしている消防士達。 そんな中、桜井雄介の姿を見掛けると、望はその姿を追ってしまっていた。 そんな元気な様子に望は、 「もう、完全に大丈夫みたいだな…」 と医者目線でそう独り言を漏らすのだった。 そんな視線に雄介の方も気付いたのか、それとも、訓練中に望の姿が目に入って来たのか、雄介は訓練中なのにも関わらず、望がいる所へと走ってやってくる。 「今日はどうしたんですか?」 「あ、いや…たまたまな…」 声を掛けられるとは思っていなかった望は少し焦りながら答えるのだった。 「あ!そうそう!買物!買物をしに行こうとしていたら、たまたま、桜井さんの消防署の前を通ったので、様子を見てただけですよ…ほら、足の方は大丈夫みたいですし…」 最後に乾いた笑いを付け加える。 ある意味、望の鼓動は今最高潮なのかもしれない。 まさか、雄介が望も姿を見つけて声を掛けて来てくれるなんて事思っても見なかった事だからだ。 「お陰様で今はもう大丈夫ですから…」 「それなら、良かったですよ…」 そうごくごく普通の会話が出来て、気持ち嬉しく感じている望だったのだが、そこで、雄介は同僚に呼ばれてしまったようだ。 「おーい!桜井!」 「はいはい!分かっておりますがな…!」 そう言うと雄介はもう一度望の方へと向き直し、 「では、まだ、仕事がありますし…また…」 「あ、ああ…うん…。あ!ちょ…!」 望はその場でこの前の返事をしようとしたのだったが、もう、その頃には望の近くには雄介の姿はなく、望はそこで諦めたような息を吐く。 雄介は元の所に戻ると望に向かって手を振って来ている姿に手を振り返す。 「また、言えなかったか…」 と再びため息と同時に独り言を漏らすのだった。 仕方なしに予定していた買物に向かおうとしていた直後、消防署の方からけたたましいサイレンの音が鳴り響き消防車が出て行く。 そこには雄介が乗っていた。 「あ、ああ…火事があったのか…」 とのんびりとしていた望だったのだが、望の進行方向でこの辺一帯を轟かせるような爆発音が響き渡った。
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