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ー友情ー

「…え?へ?ちょ、お前もそんな目で俺の事見てたのかよ…」 今まで頭を下げていた望だったのだが、その和也の言葉に顔を上げ、和也の瞳を見つめる。 「ああ、そうだよ。男にしては綺麗な肌してるしさ…綺麗な顔立ちもしてるしな…。お前と働き出して気付いた事だったんだよ…俺はお前の事が好きだって事をな…でも!やっぱり、今の関係を壊したくなくて、ずっとずっとその事は俺の心の中で留めておいた事なんだけど…今ので吹っ切れたっていうのかな?」 和也は望へと近付くと望の顎を持ち上げ、望の瞳を見つめる。 望は複雑そうな表情をしながら和也の事を見つめていたのだが、奥歯を噛み締めるとある決断を下す。 「…分かった…お前が言った条件を飲めばいいんだろ?」 「まぁ、そういう事だよな…」 と言うと和也は、いつもの和也へと戻り、 「じゃあさ、俺はアイツの所に行って様子見てきてやるよ…!」 そう言って笑顔でICU室へと向かうのだった。 和也はまだ望の事を吹っ切れないでいたのだが、だが、今の望との会話の中で望が本当に雄介の事を心配するようになったのが分かってしまった。だから、今回はその望の頼みを引き受ける事にした。 そうだ。今の望は雄介の為なら何でもやるという事なんだろう。 だから、逆に望が雄介の事を本気で想い始めているという事が分かったのかもしれない。 一方、望の方は自分の部屋にある椅子へと寄りかかり力が抜けたかのように完全に背もたれに体を預ける。 そして、大きなため息を一つ吐くと、 「はぁ〜…頭が痛ぇよ…」 と、一言漏らす。 暫くして、雄介の方は回復の兆しが見えてきたのか今では一般病棟の方に移されていた。 一般病棟に移って面会時間。 雄介の働く消防署の隊員がお見舞いに来ていた。 しかも、廊下に響き渡る位の声で盛り上がってしまっている。 望は和也の事を探して病院内を歩き回る。勿論、放送では何回も和也の事を呼び出していたのだが、なかなか戻って来る気配はなく、今はこうして和也の事を探し回っていた。 そう、特に緊急の用事ではなく、溜まっている書類の整理等をやって欲しかっただけだ。 だが、なかなか和也は戻って来ない。
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