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ー記憶ー

 渡りたいと思うのだが車も沢山往来している大通り全くもって信号無視で渡るって事は不可能だ。 でも、今は1分いや1秒だっておしい。 こういう時に限って信号というのはなかなか変わってくれない。 これが普段だったら別に待っていられる位の時間ではあろうがこういう時というのは本当に長く感じられる。  やっと、信号が青へと変わると雄介は信号で大勢待っていた人達を走り掻き分け望の元へと急ぐ。  それとほぼ同時位だろうか。 遠くの方から救急車のサイレン音が聞こえて来ている。  そして、雄介はやっとの事で望がいるであろう現場へと向かえる事が出来た。  今、雄介は走って来たせいで呼吸は乱れ呼吸を整えながらもその中心部へと人だかりを掻き分け向かう。  その中心部が望じゃない事も願いながらなのかもしれない。 もし、そうでなくても雄介の場合は消防士なのだから人を助けるとも思っているのであろう。  そして、その人だかりの中心部へと雄介が辿り着くとその中心部へと辿り着いた雄介。 その人物に思わず息を飲んでしまう。  しかも、その人物は心臓マッサージをされていた。 「……へ? 望?」  そうぼそりと想いの人の名前を呼ぶと、 「ちょ、コイツ、俺の連れやねん! 変わってくれへんか?」  そう言うと雄介は心臓マッサージを開始する。  普通の人ならば、こんな状況を見てしまったらパニックになるのかもしれないのだが、やはり、雄介の場合には職業柄というべきなのか、直ぐに必死になって心臓マッサージを繰り返す。  さっきまで聞こえていたサイレンの音は直ぐにそこで止み、もう、そこには救急隊員の姿があった。  ここから先はプロに任せる所なのだから雄介はそこで救急隊員に任せる事にしたらしい。  救急隊員が来たという事で少しは安堵するのだが、まだ、終わった訳ではない。 ただ救急隊員が来てとりあえず一安心という所だろう。 救急隊員と共にストレッチャーで救急車へと乗り込む雄介と望。 しかし、まだ、望の意識が戻ったっていうわけではない。

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