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ー記憶ー87
でも雄介にはもう望の事を見守るしか出来ない状況だ。 それにここからは救急の仕事でもあるからなのかもしれない。
そしてここからはもう雄介からしてみたら今は神に祈るしかない状態でもある。
救急車の中では救急隊員が一生懸命動いていた。
流石の雄介だって望がこんな状況なのだから手の一つ位握りたい所なのだが、流石にこの状況に自分達というのは男同士の恋人だからそんな事が出来る訳がない。
兎に角、今は望が意識が戻るのを願いしかない。
とその時車内に機械音が鳴り響く。
先ほどまで反応を示してなかったのだが機械音が動き始めたのだ。
その音に反応したのは救急隊員だけではない。
今まで雄介は両手を握り神にも祈る思いで俯いていたのだが、その機械音に顔を上げる。
その機会音は誰もが聞き覚えのある音だ。
そう望が意識を回復して来ているという事を示している。
それと同時に車内に安堵の息が漏れた。
そしてその直後、望はゆっくりと瞳を開けるのだ。
その望の動作が雄介の瞳にも入って来たようで救急隊員を退かせてまで雄介は望の側へと向かい、
「大丈夫か? 望……」
雄介は周りの事を構わずに望の手をギュッと握りしめる。
「……え? あ……うん……?」
まだ望の方は意識がハッキリとしていないのかボッーとしながら雄介の質問に答えながら天井を見上げたままだ。
「そっか……ほなら、良かったわぁ」
「なぁ、ここは何処だ?」
「ああ、ここか……ここは救急車の中やで」
「ふーん……」
望はそう言うと、
「じゃあさ、君は?」
「………!?」
その望からの質問に目を見開く雄介。
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