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ー天災ー88
雄介がゴロゴロしている間にも一人寝れていない人物がいた。
そう雄介の隣で雄介とは反対側を向いて寝ているフリをしている望だ。
雄介が寝れないでいるのを望は知っていた。 そして自分に近付いて来ていたのも知っている。
その一瞬、雄介の行動に期待していたのだが雄介は直ぐに反対側を向いてしまっていた。
久し振りの再会なのに今は何も出来ていない。 恋人がこんな隣りにいるのに何も出来ない状況だからだ。
確かにみんなが大変な時に、とは思うのだけど、でも自分達だって本当に本当に久しぶりでキス位はとは思っても何かこうどこかでストッパーがかかってしまうのだから。
今まで少し離れていたのだからいいとは思うのだが。
そうだまだまだ考え事はある。
望は最初、男には興味はなかった。
だが雄介には何でだか惹かれていたようにも思える。
気付いた時には雄介に恋の魔法に掛けられていた。 そう気付いた時には雄介には夢中になっていたのだから。 恋の魔法というのはなかなか解けてはくれない。 いやそれが解けてしまったら別れるって事になるのだから、そこはそのままでいいのであろう。
だって望は完全に雄介に惚れている。 今日の昼間だって自分は雄介に行動を起こしてしまっていた。 そう雄介の事を自分から誘ってしまっていたのだから。
好きだからこそ甘えたい。
今までの自分では考えられない事だったのだけど、こう雄介が望という人間を動かしてくれた人物だ。
それに今日は甘えさせてくれるような気がしたから望は自然と甘えてしまったのかもしれない。
望は人に甘えるって事は知らなかった。 だけど雄介は優しいというのか包容力があるというのかなんか分からないのだけど一緒にいたいとか、くっついてみたいとかっていう風になっていた。 だけど女性みたいに甘えるような事が出来ないような気がして自分の中で何かこう抑えられてしまっているのかもしれない。
でも本当に今は雄介の事が好き。
この前の時だって雄介に会った瞬間、叩いてしまっていた。 あの感情はいったいなんだったんだろうか?
多分、何も言わずに勝手に何処かに行ってしまった雄介に何かこう『心配してたんだぞ!』みたいな事を教えたかったからなのかもしれない。 それと悲しみ等をぶつけてしまったという事もあったのであろう。
でも逆に本当に雄介の事が好きじゃなかったら、きっとあんな事はしなかったんだと思う。
それは望からしてみたら人に対して初めての感情だったからだ。
望は大きなため息を吐くと今まで雄介とは反対側を向いていた体を雄介の方へと向けるのだ。
だけど雄介はもう完全に反対側を向いてしまっている為、少し切ない顔を見せる望。
今はもう雄介の事が好きなのだからこの背中を抱き締めたい。 だけどこう行動までに望は時間が掛かる。 素直な自分ならこのまま雄介の背中を抱き締めているのであろう。 だけど甘えられる時と甘えられない時の自分がいるらしい。
確かに雄介の事は好きだ。 そして自分はよっぽどの事が無い限り自分から好きとか甘えるとかっていう事は出来ない性格だという事にも気付いた。
そう恋に対して心と体が一致してくれない。
望は抱き締めたいという行動が出来ずに、そのまま瞳を閉じるのだった。
明日もまた仕事だ。 今もまだ助けを求めている人達がいるのに自分の体はなかなか休もうとしてくれないのはきっとプライベートで悩みがあるからだ。
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