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ー空間ー173

 望達が乗っていた飛行機は何故ハイジャック犯に乗っ取られたのであろうか?  望がいる病院にはロビーにテレビがあるがやはりそこは勝手には点けてはいけないと思ったのか携帯にあるテレビを点けてみる事にした。  望はあのハイジャックの時の当事者なのだから当然気になる所だ。 それに今は雄介は治療室だか処置室だか手術だか分からない状況だから気を紛らわせる為にもニュースの方に集中したかったのかもしれない。  すると夜中なのにも関わらずニュースがやっていた。 多分、日本ではあまりない事なのだからマスコミがここぞっとばかりに報道しているのであろう。 『犯人は何のためにこんな事をしたのか!? 未だに動機の方は分かっていませんが、このハイジャック事件において、勇敢な男性がいたようなのです。 その勇敢な男性は四人のハイジャック犯を捕まえて、しかも、自分は傷を負っているのにも関わらず乗客全員を乗せた飛行機を着陸させたという事なのです。 幸いにもこの事件による犠牲者は三人。 操縦士さんと副操縦士さんとその犯人と戦った男性の三人だという事を先程の飛行機に乗りあわせていた刑事さんち乗客の方々が口にしております』  望はそこまで聴くと息を吐く。 「当然、今は情報はこれしかないんだよな。 犯人の取り調べはまだだろうし……」  そうポツリとロビーで独り言を言っても誰もいないロビーでは誰も聞いてくれる相手なんかいやしない。 そして望はソファへと腰を下ろす。  現在の時刻は午前一時過ぎ。  病院の窓ガラスからは月が顔を覗かせている。  雄介が処置室に入って、もう十五分。  たった十五分しか経っていないのに望の中では一時間にも二時間にも感じているのかもしれない。

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