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ー空間ー176

 望は和也へとカーソルを合わせると和也へと電話してみる事にした。  最近はまったくもって和也とは連絡していなかった事もあって自分のリダイヤルの方にはなかったのだが着信履歴の方には今日は何回も連絡してきているのだから和也からの履歴は残っている。  しばらくのコール音の後に慌てたような声ではあったのだが和也の声に少し安堵したのかもしれない。 『の、望かぁ!? 良かったー! 無事だったみたいでさ……。 ゆ、雄介の方は大丈夫なのか?』  望の方は一呼吸すると、 「俺の方は大丈夫だったんだけどさ……。 雄介は確かに乗客全員の命は救ったさ……だけど、雄介は今怪我して病院で処置してもらっている所だ。 しかも、まだ、処置室から出てくる気配がねぇんだよな」 『そっか……。 まぁ、あれだけの事件で二人が無事そうなら安心できたかな? そういや、雄介が大活躍だったそうじゃねぇか』 「え? あ、まぁな……」  そう望は一言だけ答える。  今はとりあえず和也に連絡が出来た事で心の中にある緊張が少し解れてきているのかもしれない。  もう自分の中で今にも崩れてしまいそうだ。  今までは強い自分でいられたのであろうが、こう雄介という恋人が出来てしまってからは心の方が弱くなっているのかもしれない。 和也との電話で一安心している自分がいるようで瞳には涙が溢れていた。  男が泣くなんて事恥ずかしいと思っていたのだが瞳から溢れて出てくる涙は止まろうとはしない。 『望? 大丈夫か?』 「あ、ああ……大丈夫だ……」  涙で震えそうな声を必死に押し殺そうとしている望なのだが、どうやら、それが和也には伝わってしまっているようだ。  だが和也はもう望の性格を分かっている。 だから敢えてそこには触れずにしたらしい。  望の事だ。 そこで、その事について言ってしまうときっと電話を切ってしまうだろう。 とりあえず今は望の気持ちを汲んで通話は切って欲しくはない。

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