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ー空間ー224

「違ぇよ。 さっき、お前さぁー、ここに来る前にこの店が美味いって言ってたのにさ、今は自分が上手いような事言ってんじゃねぇか」  その言葉に望が笑った理由が分かったような気がする。 「ああ、そういう事な。 ほな、俺が作り方上手い事にしとこ……」  雄介はそう言うとお好み焼き作りの方に専念するのだ。  望はそんな一生懸命の雄介の姿を見上げる。  恋人というのはどんな姿であろうとカッコいいと思えてしまう。 この三日間は特にそうだったような気がするのだが。 そして今は前にもまして雄介が精神的にも体力的にも逞しくなったようにも思える。  最初、あの事件の時、雄介は乗客全員を一人で助けた。 いつも望の前ではヘラヘラとしている事が多い雄介でも、やっぱり人を助ける姿はいつもとは違う。 真剣そのものだ。  ただこうして雄介と平和に幸せに暮らしている中で望は疑問に思い始めた事がある。  確かに雄介は男性にいや今は望にしか興味がないように思えるのだが、それでも見た目はカッコよくて性格も良くて恋人には一途な雄介に言い寄る女性はいないのか? という事だ。  そんな話を雄介には一回もした事がないような気がする。 「な、お前さぁ」  そう言ったと同時にお好み焼きが出来たのであろう。 「出来た!」  と雄介は笑顔で言っていた。 「とりあえずな、同じもんを注文した訳やし、半分こしような」 「ああ……」

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