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ー空間ー231

「よっ!」  そういつもの調子で雄介は診察室へと入って来る。  だが、そこには一つ望の変化があった。  望は前の教訓を生かしてなのか雄介の事を追い返そうとはせず、 「そちらの椅子の方へどうぞ……」  と業務的な事は言っているものの雄介の事を止まらせたようだ。  そう前回の時には雄介の事をここで追い返してしまい、その一瞬ですら話す事すら出来なかったという思い出があったからであろう。 「あ、ああ……」  そう雄介の方も望の指示に従う。 「……で、今日はどうされました?」  だが未だに業務的な言葉を言う望。 「え? あ、せやな……何から話したらええんやろ?」  雄介は望から視線を離してまで言うのだ。 「あ、とりあえずな……俺……また、異動になったんよ」  そう何故か切なそうに言う雄介。 「あ、ああ……それで?」  そんな雄介の声を聞けば誰だって異動の場所が東京や大阪ではない場所になるんだろうっていうのが分かるだろう。 北海道? 沖縄? はたまた四国? まさか海外って事はないだろうか?  とりあえず今の望は雄介が答えるまで待つしかなかった。  その間、望の鼓動はいつも以上に増して高鳴っていたのかもしれない。 「その場所はな……」  そう何故か雄介の方は言うのをためらっていた。  聴いてる身としては早く言って欲しいと思うのだが。  だが次の瞬間、 「あぁ! スマン! やっぱ、もう、言わへん方がええのかもしれへんわぁ!」

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