567 / 2160
ー空間ー232
そこは最後まで聞きたかった筈なのに途中で止められてしまった。 きっと望の中では迷っているのであろう。 それを雄介に聞いていいのか? いけないのか? いやきっと望の性格からしたら聞けないの方が正しいのかもしれない。
だが、そこは望が聞かなければ和也が聞いてくれるのであろうと思ったのだが、寧ろ今日の和也は一向に口を開こうとしてくれる事がない。
望は和也の方に視線を向けると和也は診察室にあるベッドの端に座って顔を俯けて腕を組み小刻みに体を震わせている姿が目に入る。
きっと望の心の中では「はぁ!? 何で、言ってくれねぇんだよ!」状態だろう。
そんな和也の姿を見て何か望から雄介に掛ける言葉はないかと一生懸命頭の中で探しているようだ。
だが雄介はそんな望を尻目に、
「ほな、前にも望に言われた事あったし、ここでは長居出来へんしな……ここで俺は行くわぁ」
それだけを言い残し雄介は出て行ってしまう。
やはり今の望でも雄介には何も聞くことがが出来なかったという事だろう。
雄介が去った後、和也はベッドの端から降りると、
「ったく……雄介の奴、何の為にここに来たんだろうな? やっぱさ、最後のお別れに望の顔を見てくて来たのかもしれねぇよな?」
和也は望の肩にポンと手を乗せ慰めのつもりで言ったつもりだったのだが和也の最後の言葉に望の何かこう癇に障ったようで、
「アイツがそんな事を言いにわざわざここに寄る筈ないだろっ!」
そう強く言い放つと望は和也の腕を振りほどき診察室のドアを開け待合室まで出たのだが既に雄介の姿はなかった。
こんな中途半端な別れ方なんか嫌に決まっている。
今まで以上に会えないなんて信じたくもない事だ。
だが今の望は仕事中だ。 雄介を追い掛ける事もメールをする事も出来ない。
ともだちにシェアしよう!

