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ー雪山ー156

「当たり前だろ」  そう言うと裕実の方は両手が空いたという訳で和也の腕に腕を回して絡めて歩き始める。 「望……荷物、持つで……」 「思い出したかのように言うんじゃねぇよ。 どうせ、和也のを見て持ってやろうと思ったんだろう?」 「そこはちゃうって。 最初っからそこは持つ予定でおったしな」 「いい……自分で持って行くからよ」 「せやけど、望の荷物重たそうに見えるんやけどな?」  そう望が持ってきているスーツケースというのは見た目も重たそうなのだが、そこに荷物が入ったら更に重たそうに見えるからだ。 「望ー、そこは遠慮せんと……」 「いいって言ってんだろ。 それに俺は裕実のように甘くはねぇぞ。 例え、雄介にスーツケース持ってもらったって、あんな事はしねぇからな」 「そないな事は分かっておるわぁ……せやから、スーツケース俺に渡しぃ」  雄介は望からスーツケースを奪い取るようにして持つと歩き始める。  そんな様子の雄介にコソと微笑む望。  望がどんなわがままを言っても許してくれるというのが雄介だ。 だから望はきっと雄介にはわがままな事を言ってしまうのであろう。 「ちょ! 雄介! 早くしろよー! お前がここの予約してるんだから、お前が受付済ませてくれねぇと中に入れないんだってよ!」  そう先に行ってしまっていた和也が入口から雄介に向かってそう叫んで来る。 「ああ! 分かったって……今行くし、待っておって!」  そう雄介はそう言うと望の荷物自分の荷物を持ったまま、その建物のスロープを駆け上がって行く。  日頃から鍛えているだけあるのであろう。 息も切らさず雄介は和也達がいる所まで駆け上がるとチェックインだけを済ましてコテージの鍵を受け取って、その事務所が入っている建物を抜けて四人は指定されたコテージへと向かうのだ。  その事務所から少し離れた所に幾つものコテージが建っていて雄介はその中の鍵と同じ番号を探すとコテージの鍵を開けて中へと入って行く。

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