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ー雪山ー192
ここで自分が心を乱せば雄介が不安になるかもしれない。 いや雄介だけではなく他の二人にも心配掛ける事になるだろう。 後はとりあえず天候が回復するまでここに止まらなくちゃならないのだから体力も温存しなきゃいけないからなのかもしれない。
「まぁ、後はとりあえず水分の確保だな。 そこにある桶に綺麗な雪入れて来るな……ほら、食べ物が無くても、水分さえとってれば大丈夫だろうし」
和也はそう言うと桶を持って、まだ吹雪いている外へと向かい雪を入れて戻って来る。
そうすれば雪は暖炉の火によって溶け水へと変わっていくのだから。
雪が水になると、和也と裕実と望の三人は手で水を掬い喉を潤す。 雄介には望が手で水を掬って雄介にも飲ませるのだ。
それから望と裕実はポケットにしまっておいた飴やチョコを取り出し、
「これで、とりあえず、天候が回復するまで保たせるしかないな」
「へぇー、二人共、こういうの持ち歩いてたんだ」
「つーか……こういうのって、もしもって時の必需品だろ? 確かに、チョコや飴っていうのはお腹には溜まらない物だけどさ、命を保たせるには大事なもんなんだからな」
「それは流石に知ってるけどさ、まさか、スキー場で遭難するとは思ってなかったからな」
そう言う和也はに対して、裕実は、
「和也さん……流石にそれは自分に対して危機管理無さすぎですよー! 僕も持ち歩いてたんですからね」
「悪かったな。 危機管理無さすぎでさ、寧ろ、今までこんな事になった事がなかったからさ」
「だから、それが、ダメなんですってばぁ! もしもって時の事を考えて下さいよっ!」
そう普段は温厚な裕実さえも苛立ってしまっているのか和也に対して説教みたいなのを始める。
「ま、まぁ、裕実……落ち着けよ。 今はそうやって言い合ってる場合じゃないんだからさ」
そう二人の間に入ったのは望だ。
「とりあえず、しばらくの間、食料という食料はこれしかないんだからさ、大事に食べて行かないとだろ? 大人なんだから、少し位腹減ったって、我慢出来るだろうしな。 俺たちはあの震災を乗り越えて来たんだから、それくらいは大丈夫だよな?」
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